激戦区・神奈川を勝ち抜く鍵は? 日大藤沢・山本秀明監督が選手に求める“本気の熱”

日大藤沢・山本秀明監督【写真:大利実】
日大藤沢・山本秀明監督【写真:大利実】

昨秋の慶応戦…一打逆転の場面で浮かんだ奇襲は“幻”に

 昨秋の神奈川大会準決勝で、今春選抜大会に出場する慶応と6-7の熱戦を演じた日大藤沢。山本昌氏(元中日)を実兄に持つOBの山本秀明監督が、2004年から指揮を執る。三菱自動車川崎の捕手として都市対抗出場の経験を持つなど、アマチュア野球の最高峰でプレーしていた。ここ数年、2019年夏準優勝、2021年春ベスト4、2021年夏ベスト8と優勝争いに絡むが、甲子園出場には至っていない。夏は1995年、春は2007年を最後に聖地から遠ざかる。激戦区・神奈川を勝ち抜くカギはどこにあるのか――。

 昨秋の準決勝、対慶応。5回終了時に0-5の劣勢も、6回から追い上げ、8回を終えて5-7。9回裏には1点を返して、2アウト満塁まで攻め込んだ。打席には、8回に追撃の3ランを放った4番・田上優弥。主砲に、最高の場面で回ってきた。

 田上が勝負を決めるか、あるいは慶応義塾の二番手・松井喜一が凌ぐか。観客の誰もが投手対打者の戦いに視線を注ぐ中、ベンチの山本監督だけは違うことを考えていた。

「三塁手がベースから離れて、三遊間寄りの深い位置に守っていました。三塁ランナーの牧原(賢汰)のホームスチールか、あるいは田上のセーフティバントか。サインを出そうか迷ったんです。でも、あそこで勝負をかけられるだけの練習を積んできていない。最終的には田上のバッティングに期待しましたが、私がもっと冷静に指示を出すことができれば、結果は変わったかもしれません」。

 田上は外のストレートに2球空振りしたあと、最後はストレートに差し込まれて、ライトフライに終わった。

 マウンドの松井は、曲がり幅が大きいスライダーが特徴の右サイドスロー。8回の打席では、田上が低めのスライダーをうまく拾い、レフトスタンドに放り込んでいた。「あの試合に関しては、スライダーの制球が定まっておらず、満塁なので押し出しデッドボールも怖い。そう考えると、外のストレートしかない。そこだけ狙うような指示を出せれば良かったのですが」。

「サインを出した時に『よっしゃ来た!』と思えるチームに」

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY