激戦区・神奈川を勝ち抜く鍵は? 日大藤沢・山本秀明監督が選手に求める“本気の熱”

日大藤沢・田上優弥【写真:大利実】
日大藤沢・田上優弥【写真:大利実】

「サインを出した時に『よっしゃ来た!』と思えるチームに」

 ただ、その一方でこんな気持ちもある。

「試合後のミーティングで、『サードの守備位置を見ていた選手はいるか?』『セーフティバントやホームスチールの発想があった選手は?』と聞くと、誰もいませんでした。『サインを出したときに、“よっしゃ、来た!”と思えるチームになれば、夏に勝てる可能性はあるよ』という話をしました」

 視野を広く持ち、攻撃の幅をどれだけ広げることができるか。それが、秋に見えた課題だった。

 かつては、練習量の豊富さが特徴だった日大藤沢だが、昨今の「働き方改革」と「コロナ禍」が重なり、練習時間は縮小されている。「コロナ禍に入ってから、20時完全下校になりました。グラウンド整備や着替えを考えると、19時半前には練習終了。休日はコロナのリスクも考えて、9時スタートと13時スタートの2班に分けて、練習をしています」。

 学力が高く、「文武」の両方をまっとうしたい中学生に人気を誇る。現3年生は31人、2年生は39人、1年生は22人と、山本監督が赴任して以降、3学年では最多の部員数となった。「練習時間が短くなり、部員数が増えている。今までと同じやり方では難しいことは、誰もがわかっています。この中で、どうやったら神奈川を勝てるか。正直、“答え”は誰にもわからないんですよね」。

 この冬のミーティングでは、選手たちにこんな言葉を投げかけたという。「うちが甲子園に出たのは、15年以上も前のこと。もう、甲子園に出たことがない学校と同じ。初出場を狙う気持ちでやらなければ、優勝はつかめない。初めてのことだから、勝ち方や行き方は誰にもわからない。わからないからこそ、一生懸命に本気で甲子園を目指して取り組むしかないよ」。

「本気」にならなければ道は拓けない

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