「球をよく見る」は逆効果? 体が固まるなど“弊害”も…最適なのは「ぼんやり見る」

打撃で重要なボールを見るための目の使い方とは?
打撃で重要なボールを見るための目の使い方とは?

日本ハム・松本剛をサポート…野口信吾氏は500人以上選手の目を観察

 昨季パ・リーグの首位打者に輝いた日本ハム・松本剛外野手をサポートしているスポーツビジョントレーナーの野口信吾さん(以下、シンゴさん)が指導した打者には、「ボールを見ないようにして」覚醒した甲子園球児もいる。少年野球でも耳にする「ボールをよく見て」という指導は逆効果になる可能性があるという。また、子どももすぐに取り入れられるトレーニング法を紹介してくれた。

 シンゴさんが松本のサポートを始めたのは2021年。スポーツビジョントレーナーとして活動を開始したのは、その5年ほど前からだった。これまで少年野球からプロ野球まで500人以上の選手を見てきた中で、目の使い方を変えて“覚醒”した高校生もいる。

 過去にシンゴさんが指導したある高校には、チーム共通の課題があった。「外角低めを打てない」。各打者はスイングスピードや筋力はあった。だが、打撃フォームやタイミングの取り方を変えても改善しなかったという。特に、クリーンアップを任された3選手は苦労していた。そこで、シンゴさんが3人の目の動きをチェックしたところ、使い方に問題を見つけた。

 トス打撃のような緩い球を目で追うだけでも頭が動いていた。「最も体から遠い外角低めを打ちに行く時は当然、頭が突っ込んでしまいます」。

 シンゴさんは頭を動かさずに目だけで物を追う基本的なトレーニングを選手に課した。1か月が経った頃、クリーンアップ3人のうち2人は頭が突っ込むクセが改善されていた。その中で、苦戦していたのが主砲だった。マシンや打撃投手が相手の時は柵越えを連発するが、試合になると全く打球が上がらなかった。試合中の打席を観察すると、あることに気付いた。

「投球をずっと見てしまうクセがありました。投手が球を持つ前くらいから、ずっと球を見ているんです」

目の使い方修正で主砲は本塁打量産…チームは犠打成功率100%

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