“常識”だった内野手指導はNG? 怪我のリスクも…米国流コーチが推奨する投げ方

野球スキルコーチの菊池拓斗さん【写真:伊藤賢汰】
野球スキルコーチの菊池拓斗さん【写真:伊藤賢汰】

米国で野球指導学んだ菊池拓斗氏が解説「送球は胸を倒す」

 米国で野球指導を学んだスキルコーチの菊池拓斗さんは、守備向上には動きを細分化したドリルが有効と考えている。日本の少年野球で“常識”とされる方法とは違った米国流の考え方も取り入れて指導。内野手の指導で一般的な「捕球したら手は耳の横」という動きを小さくしたテークバックより、胸を使った大きなモーションを勧めている。

「捕ったら耳」。少年野球では当たり前とされている指導の1つだろう。大学まで野球を続けていた菊池さんも、日本では同様の指導を受けてきた。ただ、25歳で渡米して野球指導を学んでからは、別の方法を取り入れている。「送球は胸を使います。胸を倒すことで送球は強くなり、コントロールも安定します。特に、少年野球の子どもたちは大きなモーションを覚えた方が良いです」

 テークバックを小さく素早くするのではなく、右投げの選手であれば右手と顔の距離を取り、右胸を前に倒す動きを意識して送球するよう指導している。腕や肘先だけで送球すると、球に力が伝わらない。肩や肘を怪我するリスクも高くなるという。

「モーションが小さくなると送球は弱くなります。スローイングの準備をする時間も短くなってしまうので、握り替えや腕の振りが悪くなって悪送球につながりやすい。胸筋や腹筋のような大きな筋肉を使わずに送球すると、肩や肘への負担も大きくなってしまいます」

 近い距離であれば小さく素早いモーションでも構わない。だが、一塁や塁間の送球など一定の距離がある時は「捕ったら耳」よりも大きなモーションを勧める。「モーションを小さくしても送球が弱くなれば、結果的にアウトを取る確率は下がります」。一見、時間をロスしそうなテークバックが結果的にはアウトにする確率を上げる。

(間淳 / Jun Aida)

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