グラウンドが狭くても工夫次第で強くなる 全国制覇の中学が実践する「バントゲーム」
東京・上一色中の練習は平日2時間、休日4時間
昨夏に全国制覇を成し遂げた東京・上一色中の野球部は、限られたスペースでも試合を意識した練習を心掛けている。その一例がバントゲーム。チームを率いる西尾弘幸監督は、短い練習時間で集中し、楽しみながら上達する指導を掲げている。
東京・江戸川区にある上一色中の野球部は、首都圏の中学校に共通する課題に直面している。グラウンドが狭く、他の部活とも共有しているため、外野手をつけたシートノックをするのは難しい。それでも、限られたスペースで練習を工夫し、昨夏には全国大会で優勝した。
チームを指揮する西尾監督は10日、野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」のオンラインイベントで講師を務めた。テーマは「校庭が狭くても上手くなる 強い野球部のつくり方」。西尾監督は指導方針について、こう話した。「どうやったら選手が練習に興味を持ち、上手くなるかをいつも考えています。やらされている練習ではなく、選手自ら取り組むメニュー、効果を感じられるメニューを意識しています」
かつて西尾監督は週末に1日8時間以上の練習を課していた。しかし、3年ほど前から平日は2時間、土日は4時間に短縮した。質の高い練習を考える中で取り入れているメニューの1つがバントゲーム。通常のダイヤモンドよりも狭くしたり、アウトカウントや走者を設定したりして、打者はバントだけで攻撃する。西尾監督が意図を説明する。
「試合ではあまりバントをしませんが、守備や走塁に生きる練習です。塁間を狭くすると、守備側は無駄な動きがあるとアウトにできません。攻撃側は場面に応じて精度の高いバントが求められます。ゲーム感覚で楽しみながら、実戦的な動きや考え方が身に付きます」
打撃練習でも試合を想定する。グラウンドが狭いためネットを張ってケージのような形にしているが、選手は打球方向や角度を意識しながらスイングする。「指導者が教え過ぎず選手自身が考えて上手くなる環境をつくることや上手くなる楽しみを知ってもらうことが大事だと思っています」。グラウンドに十分な広さがなくても、野球が好きになり、上手くなる方法がある。
(First-Pitch編集部)
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