子どもなのに「首と背中の筋肉ガチガチ」 危惧される“スマホ依存”…野球に悪影響も

2015年までオリックスのトレーナーを務めた吉良俊則氏【写真:本人提供】
2015年までオリックスのトレーナーを務めた吉良俊則氏【写真:本人提供】

オリックス元トレーナーの吉良俊則氏、現在は福岡県で整骨院を経営

 昔と比較して、野球をする子どもたちの体に変化が起きているという。幼い頃から長時間スマホやタブレットを使用することで生まれる“弊害”とは――。2015年までオリックスのトレーナーを務め、福岡県で「キラ整骨院」を経営する吉良俊則氏は「眼球運動が弱くなり、視野が広がらない」と指摘する。

 吉良氏は現役時代に近鉄、オリックスでプレーし、その後は球団トレーナーとして金子千尋、馬原孝浩ら一流選手たちを支えてきた。現在はプロ野球選手だけでなくアマチュア球児や主婦ら、幅広く利用者の体をメンテナンスしている。そんな中、小、中学生を診察する際に感じるのが「目を動かす力がかなり弱くなっていること」。子どもながらに首、背中の筋肉がガチガチに固まっているケースが多いという。

 例えば投手の場合、眼球運動の低下に加え首回りの筋肉が硬くなっていると、捕手を見る際に身体を投球方向へ向けて体重移動をしてしまう。俗に言う“身体の開きが早い”状態になってしまい、肩や肘を痛める原因にもなるという。「肩甲骨を柔らかくするとよく言われますが、肩甲骨はそもそも背中についています。首や背中の筋肉が固いとスムーズに動かすことは難しい。すると、肩や肘を必要以上に使って投げるので故障につながります」。

 一番の原因はスマホやタブレットの使用だという。昔のように外で思いきり遊べる環境が少なくなり、画面を目だけで追う“遊び”が圧倒的に増えたことが原因と考えている。昨今は運動する機会が少なくなったことで、身体能力の低下、肥満率の高さも問題視されている。

「僕たちトレーナーは怪我を防ぐために治療しますが、その前に言えることは『たくさん外で遊びましょう』です。当たり前のことなのですが、今はそれも厳しい環境。習い事で1週間が埋まっている子どももいる。ある種、子どもたちは“被害者”なのかもしれません。トレーニングだけなく、遊びの幅も広げてほしいですね」。野球を含めたスポーツ界の未来は少年、少女たちが支えている。普段の生活を見直すことで防げる怪我もあるだけに、注意していきたい。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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