「早く判断しない意識」でGG賞を4度 坂口智隆さんが貫いた“安全第一”の守備

オリックス、ヤクルトなどでプレーした坂口智隆氏【写真:伊藤賢汰】
オリックス、ヤクルトなどでプレーした坂口智隆氏【写真:伊藤賢汰】

プロで外野に転向した坂口さんは2008年から4年連続でGG賞

 近鉄、オリックス、ヤクルトで20年間プレーし、ゴールデングラブ賞を4度受賞した坂口智隆さんが、外野守備を本格的に練習したのはプロに入ってからだった。打球判断の一歩目が大切と言われることが多い守備で、坂口さんは「早く判断しない意識」を持ち続けていた。

 守備範囲が広く、名手のイメージが強い坂口さんだが、外野手に転向したのはプロに入ってからだった。高校までは投手で、マウンドに立たない時に外野を守るくらいだったという。外野手は特に、フライの捕球で一歩目の動きや予測が大事と言われている。坂口さんも風向きや打者のタイプによって守備位置を変えていたが、「早く判断しないこと」を心掛けていたという。17日に開催された野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」のオンラインイベント「外野守備上達講座」で、こう明かした。

「最終的には早く動かないといけませんが、早く判断した時は間違いが多くなります。早く動くよりも正確に判断して動いた方が結果的に、最短の動きになります」

 坂口さんは「動き出しの早さは予測でしかありません」と話す。予測は当たる時もあれば、外れる場合もある。予測が外れた動きを修正するよりも、打球に対して最短距離で動けるラインを見つける意識が最も大切だと考えている。打球が飛んでくる前に動き出すプレーは極力少なくし、判断力を磨く。その心構えが最速の動きと安心感につながっていたという。

 実際、ノックでコーチから「今のは良いスタートだった」と評されるのは、打球を予測して動いた時よりも、打球判断してから動き始めた時の方が多かった。坂口さんは「アウトにできる打球を確実にアウトにするプレー」を外野守備の理想に掲げ、「ファインプレーはいりません。安全第一。確実にアウトを取る技術を磨いてきました」と説明した。

 外野手にとっての安全第一は、フライもゴロも後ろに逸らさないプレーが大前提となる。坂口さんは常に自分の視野に打球を入れることを心掛けていた。一か八かのプレーは避け「三塁打から逆算して、三塁打を二塁打、二塁打をシングルにする守備。ミスは体の前でするように気を付けていました。外野手は打球を後ろに逸らしてしまったら致命的です」と話した。プロで長年レギュラーを務められたのは堅実な守備があってこそ。判断を急がない安全第一の先に、ゴールデングラブ賞があった。

(First-Pitch編集部)

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