元オリ大引啓次さんが重視する“どこを守るか” 強烈打球を捕るために必要な「準備」

オリックスなど3球団で活躍した大引啓次さん【写真:伊藤賢汰】
オリックスなど3球団で活躍した大引啓次さん【写真:伊藤賢汰】

身に付けた技術を最大限に生かすのが「準備」、例にポジショニングを挙げた

 守備で最も重要なことは何だろうか。普通に考えれば、「打球を捕球して投げる」技術が思い浮かぶだろう。だが、主に遊撃手としてNPB3球団で計13年プレーした名手、大引啓次さんは技術プラスアルファが必要と強調。「実際の試合では、準備が大きな要素を占めます」と語る。

 法大からオリックスにドラフト3位で入団し、日本ハム、ヤクルトと3球団のユニホームを着てプロ1軍1288試合に出場。堅実な守備で活躍した大引さんは「技術はもちろん大事」とした上で、実際に試合で生かすには事前の準備が必要と力説する。「準備は実際の試合では7~8割くらいを占めているかもしれません。色々頭を働かせて考える力を養ってほしいですね」。

 例の一つに挙げたのがポジショニング。現代野球ではすさまじい速度のゴロが内野手を襲う。大谷翔平投手(エンゼルス)ならば時速180キロ、秒速にして50メートルのゴロを打つこともある。そこまで至らなくとも秒速40数メートルだったら「ちょうどプロで(遊撃手が)守る位置を1秒間で抜けていくわけです。先回りして捕れるのか、そこにいないがためにヒットにするのかえらい違い」と語る。

 浪速高(大阪)2年の春に出場した甲子園で、ファインプレーを演じた。右打者の打席で三遊間に打球が来る予感があり、三塁側に寄って守っていたところライナーをジャンピングキャッチ。抜けていれば決勝点を許していた場面での美技だった。今も「自分の中で会心のプレー」と言い、洞察力や打者の傾向、球種などを総合して準備した結果だった。

 決して身体能力が高いタイプではないと自己分析する。やや前目で、三遊間寄りに守るのが基本だった。「どうやったらプロで通用するか、どうやったら身体能力の高い選手と戦っていけるかを常に考えていた。他の選手より、よく考えていた感じです」と振り返る。

 秀でた身体能力を備えていなくても、基本の技術を徹底的に磨き上げ、さらに準備・思考が整っていれば上のカテゴリーで戦っていける。「野球は頭」であることを大引さんは実践し、準備の重要性を子どもたちにも訴えている。

(First-Pitch編集部)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY