技術は「中学からでいい」 Jr.トーナメントV監督が伝えたい…小学で経験すべきこと

阪神タイガースWomen監督・上本博紀氏【写真:橋本健吾】
阪神タイガースWomen監督・上本博紀氏【写真:橋本健吾】

上本博紀さんが率いたタイガースJr.は昨年の12球団Jr.トーナメントで初優勝

 少年少女に知ってほしい、野球が上達するために必要なこととは? 昨年の学童軟式野球大会「NPB12球団ジュニアトーナメント KONAMI CUP 2022」で初優勝を飾った阪神タイガースJr.の上本博紀監督(現阪神タイガースWomen監督)は「小学生の時期はうまくなることだけを求める必要はない」と、持論を口にする。

 日本の野球レベルは年々上がっている。プロ野球では球速160キロの豪速球も珍しくない時代になり、小学生でも投手は120キロ、打者もプロ仕様の球場で柵越えアーチを放つなど、技術やパワーの進化は目を見張るものがある。地元チームだけでなく、クラブチームや野球塾など様々な選択肢があるのも現代の特徴だ。

 昨年までタイガースJr.の監督を務めた上本氏も「科学的にも食事も進歩していますし、簡単に情報を得られる時代になった。個々のレベルは非常に高かったです」と振り返る。ただ、技術の向上はもちろん必要だが「うまくなることが全てではない」と感じている。

 上本氏は「まずは野球が“楽しいスポーツ”ということを分かってほしい」と口にする。技術だけに走ると、本来の“楽しさ”を見失ってしまう場合がある。「小学生の時は楽しい思い出を作る。親子でやったことが思い出になることに価値があります。体がまだ仕上がっていない時期にうまくなることはないですし、怪我にもつながります」。厳しい練習や過度なプレッシャーを与えることで、野球を諦める子どもがいる現実を指摘する。

 上本氏が野球を本格的に始めたのは中学生の頃だった。小学校低学年の時は他競技に明け暮れ、小学5年でソフトボールに取り組んだ。中学で野球を始めるきっかけになったのは「仲の良かった友達が始めたから。一緒に楽しいことをやりたかったから」だという。

 技術を求めるのは筋力や俊敏性が備わってくる中学、高校からでも決して遅くはない。未来ある子どもたちに向け上本氏は「プロでは怪我もありましたが、野球を長く続けられたのは小中学生の時に怪我をしなかったこともあると思う。技術はそこからでいい。いっぱい食べて、いっぱい睡眠を取って、まずは楽しんでほしい」とアドバイスを送っている。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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