打って投げてスライディングも実演 58歳中学硬式日本一監督の“見せて育てる指導法”
3度の全国制覇…千葉・京葉ボーイズの関口勝己監督
選手と一緒に動けなくなった時は指導者を辞める時。中学硬式野球で3度の全国制覇を成し遂げている千葉・京葉ボーイズの関口勝己監督が24日、野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」の会員向けイベントで講師を務めた。選手に手本を見せる指導を軸にしており、58歳になった今も“現役”を貫いている。
社会人の名門・NTT関東(現NTT東日本)でプレーした関口監督は2009年に京葉ボーイズのアドバイザーを務め、翌年から総監督に就任した。今までにチームを日本一に3度導き、昨年のジャイアンツカップでは準優勝している。「TURNING POINT」のオンラインイベントでは「怒らずに才能を伸ばす 見せて育てる指導法」をテーマに指導論を語った。
関口監督が最も大切にしているのは、選手に手本を見せる指導。投げ方や打ち方はもちろん、時にはスライディングも披露する。「子どもたちと一緒に練習できるように動ける体をつくっています。年齢は関係ありません。色んな考え方があると思いますが、手本を見せられなくなったら指導者はやりません」。中学生は、大学生や社会人のような理解力や経験がない。口で説明するだけでは伝わらない部分があると考えている。
選手と一緒にグラウンドで動き、同じ目線で選手に接している。自身は厳しい上下関係や怒声罵声が当たり前だった時代で社会人まで野球を続けてきたが「ずっと違和感がありました。精神的には強くなったかもしれませんが、褒めてもらいながら指導を受けたら、もっとうまくなったと感じています」と振り返る。時代の変化に合わせた指導が求められていると認識し、褒めて伸ばす育成に重点を置いている。
「褒められれば子どもたちはうれしいので、野球が楽しくなってどんどん伸びていきます。ポジティブな言葉をかけながら指摘するように心掛けています。選手は能力も体の動きも違うので、1人1人に合った言葉や教え方を選ぶのも大切です」
手本を見せるといっても、決して上から目線では伝えない。良い例と悪い例の違いを実際に見せることで、選手にイメージしてもらう。また、トレーニングの効果があるのか、自ら実践して証明することもあるという。関口監督はトレーニングで11キロ減量して体をしぼり、球速は106キロから117キロまでアップした。「指導者が愛情と情熱を持って接すれば、子どもたちは成長します」。58歳の名将は選手とともに進化している。
(First-Pitch編集部)
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