選手が涙「勝てないチーム辞めたい」 脱・勝利至上主義を掲げた学童野球チームの再挑戦
クラス分けによって子どもたちのニーズに合った環境を提供
脱・勝利至上主義を進めた結果、勝ちを追求する子どもの居場所がなくなっていた。そこで、野球の楽しさを追求するために勝利への比重も置くことに。大泣きした子も、徐々にチームの変化を実感。6年時には主将を務めるまでに成長し卒団した。今は、中学で野球を続けているという。
「競技としての野球を楽しみたい子はアスリートクラス、遊びの延長で野球を楽しみたい人はスポーツクラスと分けるようにしました」
小学1年生から3年生の初心者が入れるルーキークラスも作ったが、1年生でもスポーツクラスに参加することは可能。野球が楽しくなって、もっとうまくなりたい、もっと勝利を目指したい、と思ったらスポーツクラスからアスリートクラスに移ることも可能だ。逆に勝利よりも楽しさに比重を置きたい子はスポーツクラスに移ることもできる。あくまで子どもの意向を第一に“クラス分け”を行った。
アスリートクラスは活動日を日曜の他に土曜午後も追加。横浜市西区の小学生野球連盟学童部にも加入し、勝利を追い求めて大会にも出場する。スポーツクラスは連盟には加入せず、育成を中心にしたリーグ戦を行うPCG(プレーヤーズ・センタード・ゲームズ)に参加。PCGではレベルに合わせて大人が投手をすることも可能で、野球の楽しさを感じることに重きを置いている。子どもたちはクラス選択を行い、割合は半々だった。
「大切なのは、その子がどうしたいのか。子どもよって野球の関わり方はそれぞれです。我々指導者はそれを常に観察したり、子どもたちや保護者たちと会話したりして、1人1人をしっかり指導しています」。その結果、チームの人数は右肩上がりに増え続けている。