自己主張すると「バッシング受ける」時代 元プロが子どもたちに“絶対使わぬ言葉”
子どもたちの育成に力を注ぐ元阪神・今成亮太氏
感情を表に出さず、自己主張ができない子どもたちにはどのような指導が有効なのか。4月に兵庫・西宮市内で子ども向けの運動教室「Kids Growth Theater」(以下KGT)を開校した、元阪神の今成亮太氏は「絶対に決めているルールは“ダメ”という言葉を使わないこと。問いかけや、一緒になって考えることが大切」と持論を口にする。
2018年に現役引退してからは「タイガースアカデミー」で小学生らを指導するなど、少年少女の育成に力を注いでいる今成氏。これまでに数多くの子どもたちの成長を見守ってきた中で「昔に比べて圧倒的に身体能力は高い。食事も良くなり、SNSなどで情報を得られ知識も増えました。素材としては年々レベルが上がっている印象です」と指摘する。
一方で“情報社会”だからこそ生まれる弊害も感じている。何気ない言葉一つでも叩かれる現代。自分の意見や気持ちを表に出すことを控える子どもたちが増えているという。SNS上では目立つことができても、実際に対面すると言葉に詰まる光景を何度も見てきた。
「僕たちが幼少の頃は『俺を見てくれ!』といった自分が主役じゃないと嫌な人が多かった。それが正解かは分かりませんが、プロ野球の世界で成功している人は“我”の強い人が多い。今は時代の変化もあって争いごとを嫌い、表現できない子がいる。発言したらいけない風潮になっている。自分を表現するとバッシングを受ける。変に大人っぽい子が増えてる。もっと子どもっぽくいればいいと思っています」
指導する上で心掛けているのは子ども目線になって“対話”すること。課題に取り組み、成功や失敗を経験した際には「『ナイスバッティング』『今のはダメ』といった言葉で片付けない。何で失敗、成功したのかな? そういった問いかけでプロセスを考えさせる。自分の意見を口にすることで、考える能力も上がっていくと考えています」と力を込める。
解説者やタレントとして忙しい毎日を送る一方で、拠点となる「KGT」に頻繁に顔出し、子どもたちと触れ合っている。「野球もですが、様々なスポーツで活躍できる人材を育てていきたい」。子どもたちの可能性は無限大。日本の未来を担う少年、少女をサポートし続けていく。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)
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