子どもたちは「皆、大谷翔平になりたい」 飛び抜けるために“遠回り”も必要なワケ

日本ハム、阪神でプレーした今成亮太さん【写真:橋本健吾】
日本ハム、阪神でプレーした今成亮太さん【写真:橋本健吾】

元阪神・今成亮太氏「すぐに結果、答えを求めても上手くはいかない。」

 野球を始めたばかりの少年少女たちが上達するために必要な思考とは? 現代の野球界は様々な情報があふれ、誰でも簡単に“答え”が手に入る時代になっている。兵庫・西宮市内で子ども向けの運動教室「Kids Growth Theater」(以下KGT)を開校した元阪神の今成亮太氏は「知って欲しいのは技術にいくまでには過程があるということ」と力説する。

 高校、大学、社会人、プロ野球で活躍する選手は秀でた能力を携えている。誰よりも打球を飛ばす打者、160キロを投げる投手になるために必要な技術論などは、過去に比べると簡単に手に入るようになった。勝負強い打撃でユーティリティプレーヤーとしてプロで13年間プレーした今成氏は「すぐに結果、答えを求めてもうまくはいかない。色々な技術を得られる時代になりましたが、まずは土台作りを大切にしてほしい」と訴える。

 2018年シーズン限りで現役引退し、その後は「タイガースアカデミー」で小学生らを指導。現在も「KGT」で少年少女たちに様々なトレーニングを教えているが、運動能力の面で気になることがあるという。

「例えば片足で立つことができない子がいたり、基本的なバランス感覚がなかったりします。僕たちの時代なら、普段の遊びの中で得られた能力です。そこがないのに、いきなり技術を求めると結果的に遠回りになります。広い可動域や筋力など基礎があるからこそ、技術を身につけることができる。そこを理解してほしい」

 スポーツをやる上で必要な基礎能力向上のため「KGT」では、ストレッチ、ラダー、ジャンプ、リズムトレーニングなどに映像、音響、照明を使った没入型教育プログラムを導入している。野球だけでなく、あらゆるスポーツに効果的で「映像と音楽を使って、自ら考えてトレーニングをする。やらされる運動ではないので飽きずに楽しめます」。子どもたちにも好評だという。

「皆、大谷翔平になりたいと言います。そのために必要なことは何なのか。いきなり“答え”を求めるのではなく、“過程”を自ら考え大事にしていってほしい。失敗すること、遠回りすることも無駄ではありません」

 指導では対話を重視。将来的にどのスポーツでも活躍できる子どもたちの育成をサポートしていく。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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