野手の肘を守る“捕って投げない”ノック 名医が送球のリスクに警鐘…投手の2倍超えも

マイナーリーグの守備練習は「捕るだけで送球しない」

 研究データについて古島氏は、次のように考察した。「投球・送球の強度が増せば負荷は強くなりますし、ステップを踏むことによって送球の負荷は下がります。『遊撃から一塁』よりも『三塁から一塁』の方が負荷が高かったのは、遊撃からの送球はステップが1、2歩入るからということもあるかもしれません。もちろん、たくさん投げる投手については、試合前の投球数や週間投球数など、球数を管理していく必要があります」。

 今回のミーティングで古島氏からは、最新のトミー・ジョン手術の施術方法や、濃縮した血小板を患部に注射して組織の修復を促すPRP(多血小板血漿)療法なども紹介された。しかし、「医学の最終ゴールは、病気にならないこと。野球で言えば、障害を起こさないことです」と、新しい医療技術以上に、そこに至る前の“予防”が大切だと語る。

 古島氏は米マイナーリーグを視察した際の、ある練習風景の映像を見せてくれた。内野手がノックを受けているが、捕球するだけで一塁への送球はしない。「日本の場合、ノックで受けた球を全部一塁に送球するので、それで肘や肩を壊す野手もいます。この“捕って投げない”練習であれば、壊すことはありません」。

 球界の未来を担う子どもたちが、過剰な負荷による怪我でプレー機会を失わないためにも、親や指導者ができる工夫はいろいろあるはず。そう感じさせられた、古島氏からの言葉だった。

(高橋幸司 / Koji Takahashi)

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