発育の差を“ハンデ”にさせない 早熟と晩熟…2チームを編成する中学ボーイズの狙い
体の成長度合いを計測…チーム分けの参考にする
「前橋中央」では生まれ月への配慮はもとより、成長の早い遅いを医学的見地からもアプローチしている。検診で骨の成長度合いなども測り、選手の「第2次性徴」はいつやってくるかなどもチェック。アプリで個々の成長速度曲線を作成して体ができあがる時期を予測する。この結果は選手にも通告。どう野球と向き合っていくのか、自覚させるのが狙いだ。
春原さんは「遺伝的に早く成長する選手、ゆっくり成長する選手。いろいろなタイプがいます。それを理解してもらった上でチーム分けをします」と説明する。こうしたデータを基に1年生大会を前に1度目、2年時に2度目、3年に入る時に3度目のチーム分けを実施。もちろん機械的に分けるだけではなく選手本人の意向を尊重する。選手が目指す進路を最優先にしているためだ。
“棲み分け”の効果として、春原さんは「長く野球を続けようとする子どもが増えてきました」と語る。中学では目立たなかった選手が、体の成長とともに飛躍するケースは少なくないと言い、「早い時期に野球を断念する選手をなくしていきたい。成長が遅い選手こそ、長くやらないと自分がどういう状況になるか分かりませんから」と力説する。
野球人口が急速に減少している現代。こうして選手を引き上げようとする取り組みは大きな価値がある。少子高齢化の時代。もうピラミッド型の選手育成は古いとし、分母を引き上げていく手法が重要になると実感する。「長期育成につながっていかないと駄目だと思います」。選手の成長に合わせた指導は今後、さらに重要になっていくだろう。
(片倉尚文 / Naofumi Katakura)
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