“怒鳴る”指導にストレス 悩む保護者に少年野球専門家が回答 解決の鍵は「行動」

多賀少年野球クラブの辻正人監督(左)と野球講演家として活動する年中夢球さんの対談の様子【写真:伊藤賢汰】
多賀少年野球クラブの辻正人監督(左)と野球講演家として活動する年中夢球さんの対談の様子【写真:伊藤賢汰】

多賀少年野球クラブ・辻正人監督と野球講演家の年中夢球氏が初対談

 少年野球を熟知する2人の答えは同じだった。滋賀・多賀少年野球クラブの辻正人監督と野球指導歴20年を持つ講演家の年中夢球さんが先日、野球技術向上プログラム「TURNING POINT」のイベントで対談。監督の指導にストレスを感じている息子を移籍させるべきか、悩む保護者の質問に回答した。

 辻監督が率いる多賀少年野球クラブは今夏も、“小学生の甲子園”と呼ばれる高円宮賜杯全日本学童軟式野球大会への出場を決めた。強さだけではなく、野球を楽しみながら選手が自主的に動く指導法が支持され、メンバーは110人を超えている。チームを退団する選手はほとんどいないが、過去には出場機会を求めて移籍する選手もいた。

「子どもたちに楽しく野球を続けてもらえるのであれば、どこのチームに所属しても良いと思っています」と、チームを辞めやすい雰囲気づくりを意識している。少年野球の保護者から寄せられた悩みや質問に答える年中夢球さんとの対談では、小学4年生の息子を育てる父親から、こんな内容が届いた。

「息子が練習に行きたくないと言い出しました。所属する学童野球の監督は大声で怒鳴るタイプでストレスになっているようです。このチームを退団して、別のチームに移籍すべきか悩んでいます」

年中夢球さんが考える…移籍の悩みを解決する「3つの方法」

 辻監督は「悩んでいる時点で答えは出ていると思います」と即答した。相談者がすでにチームに残らない決心をしていると読み解いた。そして、「移籍するのも行動、考えた末にやっぱりチームに残ろうと決めるのも行動です。悩んだままではなく、行動に移すことが大事だと思います。ただ、チームを去っても、その場所で子どもが野球を好きになった事実は変わりません。保護者は、その監督さんに多少の敬意を持ってもらいたいです」と続けた。

 学童野球や硬式クラブチームで20年以上指導し、現在は野球講演家として活動する年中夢球さんも辻監督と考え方は同じだった。保護者から受ける相談の中で移籍に関する内容が最も多いという。

「質問や相談をしてくる人は、もう答えが出ています。悩んでずっとチームに残るのであれば、別のチームに移った方が良い景色が見えると伝えています」

 年中夢球さんは、移籍の悩みを解決するには「3つの方法しかない」と考えている。「我慢してチームにとどまる」「チームを改革する」「移籍する」の3つ。このうち、改革と移籍は行動を伴うため、現状を変えられると話す。今回の相談内容には「怒鳴る監督のチームで我慢するなら行動した方が良い」とアドバイスした。

(間淳 / Jun Aida)

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