保護者も気になる“強豪校進学のための練習” 大阪桐蔭元主将が助言…「時間は短くていい」

大阪桐蔭の元主将・水本弦さん【写真:伊藤賢汰】
大阪桐蔭の元主将・水本弦さん【写真:伊藤賢汰】

大阪桐蔭で春夏連覇した水本弦氏「70%の練習は100%の力が出なくなる」

 憧れの野球強豪校に入学するために、中学時代にどんな練習をすれば良いのか。2012年度の大阪桐蔭主将で、甲子園春夏連覇を成し遂げた水本弦さんが7月26日、野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」のオンラインイベントに登場。現在は子どもたちを指導する立場からも、量より質の練習を意識する大切さを伝えた。

 石川県出身の水本さんは小学2年生で野球を始め、中学生の頃は県外の強豪校へ進学する目標を持っていた。当時は横浜高校に憧れていたが、大阪桐蔭のシートノックを見て入学を決めた。当時について「スピード感やノックを受けていない選手も含めた熱量に圧倒されました」と振り返る。

 水本さんは亜細亜大、東邦ガスとアマチュア野球界の王道を歩み、2021年に現役を引退した。現在は子どもたちに野球の指導をしている。「TURNING POINT」のオンラインイベントでは、野球をしている中学生や保護者から「強豪校へ入るために中学時代でやるべき練習」に関して質問を受けた。水本さんは練習の量より質を大切にするようアドバイスした。

「ダラダラと70%、80%の力で走ったり、バットを振ったりするのではなく、100%、120%と限界値を伸ばす練習が大事です。70%、80%の力で練習すると体が慣れてしまい、100%の力が出なくなります。練習時間は短くて良いので、マックスの力を上げる練習をしてもらいたいと思います」

小中学生に目指してほしい「スケールの大きい選手」

 例えばダッシュであれば、50本、100本と回数を目標にするのではなく、5本、10本を全力でこなす。遠投は3球で構わないので、限界まで遠くへ投げるメニューを勧めている。また、体が小さくても、小、中学生の時は「スケールの大きい選手」を目指してほしいと強調した。

「投手はフォームを完成させるよりも、腕を思い切り振って土台となる球の速さを求めることが重要です。打者であれば、バットの芯に当てる技術よりも、スイングスピードを磨きます。足の速さを生かした打撃など自分の特徴を生かすプレーは高校や大学からでもできますが、逆はできません。まずは、難しいところを目指して可能性を広げてほしいです」

 野球の練習は週末に朝から夕方まで丸一日を費やす印象が強いが、最近は練習時間を短くして結果を残すチームも増えている。昨夏の全日本少年軟式野球大会で初優勝した東京・上一色中も、長時間練習を見直したチームの1つ。練習は意図や意識で得られる成果が変わる。練習量が成長に比例するとは限らない。

(間淳 / Jun Aida)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY