全国大会の試合直前に選手がゴミ拾い 強豪ボーイズが実践…「心を整える」意味

試合後に記念撮影する広島北ボーイズの選手たち【写真:片倉尚文】
試合後に記念撮影する広島北ボーイズの選手たち【写真:片倉尚文】

広島北ボーイズは球場周辺のゴミを拾ってから試合に臨んだ

 中学硬式野球の日本一を決める「第17回全日本中学野球選手権大会 ジャイアンツカップ」に出場した広島北ボーイズは、2018年発足の若いチームながら着実に実績を残している。初出場の昨年大会は8強で、今回も2回戦へ。チームを立ち上げた林勝也総監督は選手の人間的成長を最重要視。その一環としてゴミ拾いを習慣化させ、この大会でも実践した。

 17日に行われた武蔵府中シニア(東京)との2回戦。広島北ボーイズナインは試合前、会場の東京・大田スタジアム周辺でゴミ拾いを行った。既に“習慣”となっている選手たちは手際よくゴミを集め、試合に臨んだ。

 練習でも遠征でも、必ずゴミ拾いをするのが“広島北流”。林総監督は「グラウンドに行ったら必ずします」と笑顔で語る。そして、「心を整えて試合に入ろうということです。きれいにして、すがすがしい気持ちで試合や練習に臨む。そうしないと技術は身に付かないと思っています」と続けた。

 かつては広島ボーイズの小学部を率いていた。実力をつけ、全国屈指の強豪に育て上げたが、なかなかベスト4の壁を破れなかった。「何が悪いのか……」。自問自答を繰り返し、原普さん、岩出雅之さん、井村雅代さんら他競技で大きな実績を残している指導者の本を読みふけったという。

「やはり人間性を育むことが大事なのだと実感しました」。その結果、2015年に全国制覇を達成。自身の指導方針に間違いがないことを確信し、2018年に立ち上げた広島北でも推進している。

 日々行うゴミ拾い。入部したばかりの1年生は、これが何に繋がるのかまだ理解できていない。林総監督は「精神的なことから言い続けていれば、変わっていくだろうなと思っています」と柔らかな視線を選手に注ぐ。子どもたちの心を磨き、更なるレベルアップに繋げていく。

(片倉尚文 / Naofumi Katakura)

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