“丁寧に教えてもらえない”捕手の構え方 鷹・甲斐も一目置く専門家が力説「打撃より重要」

キャッチャーコーチとして活動する緑川大陸さん【写真:伊藤賢汰】
キャッチャーコーチとして活動する緑川大陸さん【写真:伊藤賢汰】

キャッチャーコーチの緑川大陸さんはソフトバンク・甲斐をサポート

 キャッチャーコーチの緑川大陸さんは社会人やプロでの野球経験がないにもかかわらず、キャッチングの技術や知識はプロにも一目置かれている。メッツ・千賀滉大投手やソフトバンク・甲斐拓也捕手から自主トレのサポートを依頼されるほどだ。小学生も指導している緑川さんは、キャッチング向上には構え方が重要で、3つのパターンを伝えている。

 捕手をしていて、あまり丁寧に教わる機会が少ない構え方。緑川さんは「打撃の構えよりも捕手の構えは重要です」と強調する。捕手の構え方は主に「両膝を地面につけない」「左膝のみ地面につける」「右膝のみ地面につける」の3つ。股関節の柔軟性などによって得意不得意があるため、自分に合った構え方を選ぶよう勧めている。

 両膝を地面につけない構え方は、足を肩幅に開いてしゃがむ。そして、つま先に体重をかけて、できるだけ両膝を投手の方に向ける。膝が真上を向くと体重がお尻にかかって目とミットの距離が離れてしまうため、低めの投球を捕る時にミットが垂れる。低めのストライクがボールに見えてしまう原因になるという。つま先に体重が乗っていれば、両足のかかとを無理やり地面から上げる必要はない。

 その体勢から左足を5~10センチ前に出し、左膝と左肘をくっつけてミットを構える。緑川さんは、わずかに前に出した左足がスムーズなプレーにつながると説明する。

「投手の球を捕ったり、ワンバウンドを止めたり、バント処理をしたり、捕手のプレーはほとんどが自分の体の前で行われます。人間の体は足を前後にずらした方が、前後に動きやすくなっています。左足を前に出すと自然と体の前にミットが出るので操作しやすいメリットもあります」

キャッチャーコーチとして活動する緑川大陸さん【写真:伊藤賢汰】
キャッチャーコーチとして活動する緑川大陸さん【写真:伊藤賢汰】

メジャーで増加中…右膝を地面につける構え方

 左膝を地面につける構え方は、できるだけ右膝を外側に開き、両膝の距離が離れるようにする。両膝の間に広くスペースをつくり、そのスペースに上半身を入れるイメージ。スペースが狭く、体を丸めるように構えが小さくなってしまうと、右膝が邪魔になって捕球の動きが悪くなる。

 右膝を地面につける構え方は、左膝をつけるパターンと考え方は同じ。最近のメジャーリーガーに増えてきた構え方で、緑川さんは「フレーミングをしやすいように低く構えながら、盗塁を阻止するためにスローイングをしやすい構え方です」と説明する。

 左膝を地面につく構え方よりも、ステップしてスローイングする動きへスムーズに移行できるメリットがある。打者や投手が自分に合った構え方を探したり、状況に応じて構え方を変えたりするように、捕手も構え方でプレーが変わる。

<プロフィール>
緑川大陸(みどりかわ・ひろむ)。1991年8月1日、愛知県名古屋市生まれ。小学3年生で野球を始め、関西高、立正大で硬式野球部に所属。高校で三塁手から捕手へ転向。野球ユーチューバー・クーニン率いる草野球チームで「ビタ止め捕手」として注目される。キャッチャーコーチとして、対面やオンラインで小学生からプロまで幅広く指導する。

(間淳 / Jun Aida)

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