「4月から逆算」して狙った日本一 ヤングとポニーで“連覇”の偉業…新鋭チームの戦略

今夏のポニー日本選手権で優勝した「関メディベースボール学院」【写真:片倉尚文】
今夏のポニー日本選手権で優勝した「関メディベースボール学院」【写真:片倉尚文】

4月にシニアからポニーに転籍した「関メディベースボール学院」

 中学硬式野球で“革命”を起こしたチームがある。今年4月にヤングリーグからポニーリーグに転籍し、「マルハングループインビテーション 大倉カップ 第49回全日本選手権大会 Supported by エイジェック」で優勝(佐賀ビクトリーと引き分けで両チーム優勝)を飾ったのが「関メディベースボール学院」(以下、関メディ)だ。First-Pitchでは、小・中学世代で日本一を成し遂げた12人の監督に取材。今回は関メディを率いる指揮官の言葉から、選手の成長を促す“ヒント”や勝つための戦略を探った。

 関メディはヤングリーグに所属していた3月に「第31回春季大会」で優勝し、転籍したポニーでも夏の全国大会で優勝。異なるリーグで“春夏連続日本一”の離れ業をやってのけた。かつて近鉄、オリックスでプレーした井戸伸年監督は「新しいリーグに移って、自分たちの存在意義を示す。両リーグで日本一を獲るのは多分、史上初。子どもたちにも“勝ちに行く”とミーティングで再確認しました」と、狙って勝ち取った日本一だったことを明かす。

 ヤングリーグ時代から実力ある選手が揃っていたが、激戦は覚悟していた。井戸監督も「大会は5日間で6試合。全国舞台に出て来るチームはどこも力を持っていますし、ハードなゲームになることは予想していました」と口にする。ただ、日本一に向けた入念な準備を怠ることはなかった。

 ポニーリーグに転籍した4月から、7月の選手権まで逆算し練習に取り組んだ。大会会場の一つである大田スタジアムの人工芝対策、猛暑でもプレーできるようにランニングで体力強化するなど“夏の大会”を徹底的に分析した。

徹底した役割の明確化…選手に生まれた「責任感」

「人工芝は打球が跳ねたり押し込まれたり、普段とは違うことが起きる。確実にアウトを取るために、内野手にはワンバウンドスローを徹底させました。外野手もスピンをかけた低い送球を意識させる。夏場は体力が削られるので、ある程度は体の強さも必要です。約4か月間、夏を想定しながらチーム作りをやっていきました」

 選手たちには役割を明確化した。大会の組み合わせが決まると、投手陣には初戦から決勝戦までの先発を前もって告げた。ベンチ入りした25人のメンバーにも、全てではないがスタメン、代打、代走、守備固めなど、試合に出場する可能性があるポジションを意識させた。

「登板日を決めてあげると子どもたちにも責任感が出てきます。試合までにどのような準備が必要かを考えます。トレーニングや前日の過ごし方など。いつも『自分自身を知ることが大事』と伝えています」

 ポニー転籍1年目で圧倒的なインパクトを残した指揮官は、25日から5夜連続で行われる「日本一の指導者サミット」にも参加予定。型にはまらない育成方針で、これからも中学野球界に新たな風を吹き込んでいく。

関メディベースボール学院・井戸伸年監督も“参戦決定”!

 Full-Countと野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」では9月25日から5夜連続(午後8時から)でオンラインイベント「日本一の指導者サミット」を開催する。小・中学生の野球カテゴリーで全国優勝経験を持つ全12チームから、手腕に定評のある監督たちがYouTubeライブに登場。指導論や選手育成術、円滑なチーム運営のヒントを授ける。詳細は以下のページまで。

【日本一の指導者サミット・詳細】
https://first-pitch.jp/article/news/20230902/5374/

【参加はTURNING POINTの無料登録から】
https://id.creative2.co.jp/entry

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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