巨人・坂本勇人の担当スカウトが勧める上達法 一流選手の“シルエット”に詰まったヒント
「ジャイアンツU15ジュニアユース」で代表を務める大森剛氏
2024年春に設立される中学硬式野球チーム「ジャイアンツU15ジュニアユース」で代表に就任した大森剛氏は長年、巨人でスカウトを務めてきた。良い選手を見極める最大のポイントに挙げるのは「シルエット」。一流選手のシルエットを見てマネすることが、小、中学生が上達する一番の近道だと語る。
1989年ドラフト1位で巨人に入団し、近鉄と合わせて計10年間プレーした大森氏は現役引退後、巨人のフロントを支えてきた。スカウトとして東北地方を担当していた頃に密着していたのが、光星学院(現・八戸学院光星)から巨人に高校生ドラフト1巡目で入団した坂本勇人内野手だった。
大森氏はドラフトで坂本の指名を球団に強く進言し、指名につなげた。坂本に惚れ込んだ理由を「最初に見た時のシルエットです。坂本の守備は他の高校生と全く違いました」と明かす。
選手を評価する時、大森氏は細部ではなく全体のバランスや雰囲気を重視する。それを「シルエット」と表現する。東北高校時代のダルビッシュ有投手(パドレス)も一目でプロ野球選手になると確信したという。
「ダルビッシュが高校に入学したばかりの頃、キャッチボールを見て間違いなくプロに行くと思いました。体の特定の部分の動きということではなく、シルエットが良いという評価です」
一流選手のマネに上達のヒント…細部よりもシルエットを参考に
ドラフト候補の選手を追っていると、大量失点したり、4打席連続三振したりする場面を見るケースもあるという。ただ、大森氏は「結果ではなく、最終的には第一印象の評価に戻ります。第一印象に選手のバランスや個性が現れます」と話す。
この一流選手のシルエットに、小、中学生が上達するヒントがある。大森氏は野球が上手くなる一番の近道はモノマネと説明し、「イチロー氏や松井秀喜氏、大谷翔平選手ら、時代を問わずかっこ良く見える選手は個性の中にバランスの良さがあります。マネからスタートして貫いたり、応用したりすると上達していきます」と説明する。大森氏は子どもの頃、同じ左打者の王貞治氏や篠塚和典氏のマネをしていたという。
「足の上げ方や膝の角度といった細かい部分をマネしてフォームをつくるのではなく、小、中学生は全体のシルエットを見るところから入ると良いと思います。今は動画サービスが充実していますし、お手本になる選手もたくさんいます」
見る人を引きつける一流選手のたたずまい。その美しさやかっこ良さには理由があり、野球が上手くなる秘訣が隠されている。
(間淳 / Jun Aida)
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