巨人の元ドラ1が父と実践したユニーク練習 球を捉える動体視力磨いた“マッチ棒打撃”

2024年に発足する「ジャイアンツU15ジュニアユース」で代表を務める大森剛氏(写真後方、手前は岡崎郁氏)【写真:読売巨人軍提供】
2024年に発足する「ジャイアンツU15ジュニアユース」で代表を務める大森剛氏(写真後方、手前は岡崎郁氏)【写真:読売巨人軍提供】

巨人U15代表の大森剛氏が実践…火種になったマッチ棒を打ち返す練習

 来年からスタートする中学硬式野球チーム「ジャイアンツU15ジュニアユース」で代表を務める大森剛氏はアマチュア野球界の王道を歩み、ドラフト1位で巨人に入団した。プロでも高く評価された打力は、小学生から中学生にかけて日課にしていた父親とのユニークな練習で磨かれていた。

 大森氏は香川・高松商で甲子園に出場し、慶大を経て1989年ドラフト会議で巨人から1位指名を受けた。大学3年の春季リーグで史上6人目となる3冠王に輝き、その年のソウル五輪では5番打者として日本代表の銀メダル獲得に貢献した。

 大森氏の打撃の基礎となったのは、小学4年生から中学1年生まで続けていた父親との打撃練習だった。当時、高松市に住んでいた大森氏は毎晩、金属バットを手に田んぼに向かって、“ある物”を打っていた。それは、マッチ棒。投手役の父親がマッチを擦って火が消えて火種になったら、バットを構える大森氏に向かって投げていた。父親が雑誌で見つけた練習法だった。

 暗闇の中に光るマッチ棒を打ち返すのは簡単ではない。大森氏は野球ボールより小さく、風で曲がったり落ちたりするマッチ棒を使った練習で自然と対応力を上げていった。単調ではない練習は楽しく、何よりも父親と野球の話をしながら練習する時間が好きだったという。

「ジャイアンツU15ジュニアユース」の代表を務める大森剛氏(左)と監督に就任した片岡保幸氏【写真:読売巨人軍提供】
「ジャイアンツU15ジュニアユース」の代表を務める大森剛氏(左)と監督に就任した片岡保幸氏【写真:読売巨人軍提供】

「自宅にマッチが大量にあって、1箱に120本入ったマッチがなくなるまで毎日打って、終わったら父と一緒に田んぼからマッチ棒を拾っていました。すごく楽しかったですね。今思えば、動体視力や色んな球への対応につながったと感じています」

 最近は首都圏を中心にバットを振る場所さえも少なくなっている。今の時代にマッチを打つ練習は難しいかもしれない。しかし、楽しみながら練習する工夫が上達につながるのは今も昔も同じだろう。

 大森氏は自身が代表を務め、現在選手を募集している「ジャイアンツU15ジュニアユース」でも、選手が楽しめる練習や自主的に取り組める工夫を取り入れていく考えを示している。

(間淳 / Jun Aida)

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