主将7人…高校で活躍する選手続々 「野球は手段」人間力高め3度日本一の強豪チーム

東都京葉ボーイズ・関口勝己監督【写真:伊藤賢汰】
東都京葉ボーイズ・関口勝己監督【写真:伊藤賢汰】

京葉ボーイズは2019年に春夏連覇…卒団生の7人が高校で主将を務めた

 千葉県の中学硬式チーム「東都京葉ボーイズ」は日本一3度を誇る強豪。2017年の春季全国大会で初優勝を遂げ、2019年は春夏連覇を飾った。Full-Countでは、小・中学世代で日本一を成し遂げた12人の監督に取材。今回は2010年よりチームを率いる関口勝己監督に、選手は野球とどう向き合うべきか、中学年代は何を重点的に強化すべきかなどを聞いた。

 3度全国制覇を成し遂げている京葉ボーイズ。しかし関口監督の目指す野球は“勝利至上主義”とは真逆だ。願いは選手に長く野球を続けてもらうこと。「子どもたちに『もっと野球をやりたい』と思わせる指導、環境作りをしたい。選手を管理して日本一になってもあまり意味がないと思います。あまりガチガチにやってもつまらないですよね」と語る。

 関口監督は栃木・小山高、明大を経て、社会人の名門・NTT関東(現NTT東日本)で9年間プレー。そのうち最後の3年間は主将を務めた。この3年間で重んじたのは選手の自主性。時に首脳陣とぶつかりながらも、信念を貫いて都市対抗大会出場など結果を残した。

 中学生を率いる今も理念は変わらない。選手と対等の立場でコミュニケーションを大事にしながら、自ら打って投げて捕って走って手本を示す。京葉ボーイズに加えて、育成チームという位置付けの京葉下総ボーイズを2017年、八街京葉ボーイズを2021年に発足させたのも、選手に出場機会を与えたいと言う思いからだ。

 京葉ボーイズが春夏連覇を果たした2019年の3年生では、7人が高校野球部で主将の大役を担った。2022年夏の甲子園に出場した市立船橋で主将を務めた宮栄太朗さんは、京葉下総でプレーしていた。この年以外も毎年2人程度が高校で主将を任されているという。「7人も主将を務めるなんて凄いですよね。子どもたちには『野球は一つの手段』と伝えています。そこで培われたリーダーシップは社会で通用すると考えています」。こうした人間教育の結果として、日本一があるということだろう。

心拍系の強化を重視…最先端のトレーニングも積極採用

 体力、技術面でも先を見据えた指導をしている。中学年代に大きく発達するという心拍系のトレーニングを重視。1500メートル、3000メートルなどの中距離走を自主練習で取り組むように選手に勧めている。大会を終えた後の3年生にも重点的に取り組ませる。「中学生は体力的なものが上がる時期ですし、練習が厳しくなる高校でもバテない体を作ってほしい。ウエートトレーニングは体の成長が止まった後でいいと思います」。

 科学的トレーニングも積極的に取り入れる。日米複数球団でトレーナーを務めた立花龍司氏や、動作解析のエキスパートとして知られる筑波大の川村卓准教授(硬式野球部監督)らと連絡を取り合い、最新の情報や練習法を学ぶ。「私も一度やってみて、良いと思ったものを取り入れていきます」と語る。

 技術練習ではまず、走塁を重視する。状況判断や二盗、三盗のコツなどは「中学も上のカテゴリーも同じ。中学で覚えておけば苦労しません」。次に重点を置く打撃では、中学生に一番欠けているというボールの見極めなどを伝授する。「これができれば高校でも通用すると思います」。

 関口監督は、今月25日から5夜連続で行われる「日本一の指導者サミット」に参加予定。選手の“心技体”すべてにアプローチする指導法は、多くの指導者の参考になる。

日本一3度…東都京葉ボーイズ・関口勝己監督も“参戦”!

 Full-Countと野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」では、9月25日から5夜連続(午後8時から)でオンラインイベント「日本一の指導者サミット」を開催する。小・中学生の野球カテゴリーで全国優勝経験を持つ全12チームから、手腕に定評のある監督たちがYouTubeライブに登場。指導論や選手育成術、円滑なチーム運営のヒントを授ける。詳細は以下のページまで。

【日本一の指導者サミット・詳細】
https://first-pitch.jp/article/news/20230902/5374/

【参加はTURNING POINTの無料登録から】
https://id.creative2.co.jp/entry

(片倉尚文 / Naofumi Katakura)

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