日本一監督が力説「質を求めるのは遠回り」 ドラフト候補も実践…“高校で活躍できる”練習
東海中央ボーイズの竹脇監督実感「小、中学生は練習するほど伸びる時期」
中学3年間の過ごし方が、高校野球で活躍できるかの鍵を握ると考えている。今春の全国大会で優勝した愛知の中学硬式野球チーム「東海中央ボーイズ」は、効率的な方法で練習量をこなす方針を掲げている。練習量が選手の成功体験や体力強化につながり、先のステージに生きてくるという。
中学生の野球界でも短時間練習や質にこだわった練習が叫ばれる中、東海中央ボーイズは練習量を大切にしている。土日祝日の活動は午前8時から午後5時まで。可能な限り選手たちがボールに触れる機会をつくっている。打撃も守備も少人数のグループに分け、待ち時間をつくらないように異なるメニューをローテーションで回している。28日に開催された野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」のイベント「日本一の指導者サミット」に出演した竹脇賢二監督は、練習量の重要性を説いた。
「量をこなすほど、成功も失敗も数多く経験できます。成功体験で自信をつけて失敗を改善していくことで選手は成長します。量をこなした選手が質を考えるべきだと思っています。小、中学生は練習するほど伸びる時期なので、質を求めるのは遠回りになると考えています」
公式戦は7イニング制で、フル出場しても3打席ほどしか回ってこない。守備機会も限られている。成功体験をするにはチャンスが十分とは言えない。そこで、竹脇監督は普段の練習で成功体験を得られるよう、効率も考えながら練習量を大切にしている。実戦的なメニューや紅白戦にも時間を割き、練習試合は1日に4試合組む時もあるという。指揮官は「数多く打つ、投げる、捕る、試合をするというのがチームを立ち上げた11年前からの方針です」と話す。
OBの享栄・東松投手は今秋ドラフト候補 高校に生きる中学の練習量
練習量は体力強化にもつながっている。雨の日でも練習を休みにしたり、短くしたりはしない。筋力トレーニングなど室内ならではのメニューをみっちり消化する。指揮官は「継続は力、練習した選手が良い思いをできると伝えています。雨の日は練習をしないチームもありますから」と語る。
実際に、高校進学後に主力や主将を担っている選手も多い。今秋のドラフト候補に挙がっている愛知・享栄高の東松快征投手も、東海中央ボーイズで基礎を築いた。OBからは「高校の練習についていく体力や基本が中学時代に身に付いたので、高校で良いスタートが切れた」といった声が届いているという。
練習量に重点を置く上で、竹脇監督が注意しているのは怪我や事故。20人以上のコーチをそれぞれの練習グループに配置し、安全面に気を配っている。指揮官は全体をまんべんなく確認し、集中力が切れそうな時は選手を集めて言葉をかける。午前10時と午後3時に設けている補食の時間に加えて、練習の合間には短い休憩をこまめに入れている。
怪我の予防では特に、肩や肘への負担に注意している。守備練習に重点を置いた日の翌日は打撃練習を増やして投げる量を減らし、投手は日頃の練習から球数を意識する。竹脇監督は「投手は1、2、3年と怪我をしないように段階を踏んでいきます。1、2年生を試合で完投させることはほとんどありません」と説明する。1学年30人前後の選手のうち5~10人の投手を育成し、球数制限が設けられる前から複数の投手で継投する戦い方をしていたという。高校で活躍できる選手を育てる方針が、チーム力強化にもつながっている。
9月29日(金)までイベントは続きます!
Full-Countと野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」では、29日午後8時からオンラインイベント「日本一の指導者サミット」を開催。
【日本一の指導者サミット・詳細】
https://first-pitch.jp/article/news/20230902/5374/
【参加はTURNING POINTの無料登録から】
https://id.creative2.co.jp/entry
(間淳 / Jun Aida)
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