軽視するから「大事な場面でやらかす」 練習見れば分かる“貯金作れぬ投手”の共通点

中日のエースとして活躍した吉見一起氏【写真:伊藤賢汰】
中日のエースとして活躍した吉見一起氏【写真:伊藤賢汰】

元中日エース・吉見氏が重要視「おろそかにしているピッチャーは1軍でも勝てない」

 先発投手にとって、「勝利数」は評価に大きく関わってくる。打線の援護も影響するため、自らではどうすることもできないが、チームへの貢献度がそのまま表れる数字でもある。ただ、単に白星を得ても、その分負けていれば信頼は得られない。貯金を作れる投手と作れない投手の差とは……。元中日エースの吉見一起氏は、練習の一場面に大きな違いが出ているという。

 今季のプロ野球はセ・パともにレギュラーシーズンの個人タイトルが確定。DeNAの東克樹投手が16勝3敗、オリックスの山本由伸投手が16勝6敗でそれぞれ最多勝に輝き、チームに大きな貯金をもたらした。裏を返せば、チームの躍進には貯金を作れる投手が不可欠。2年連続で最下位に沈んだ中日では、歴史的な貧打も相まって、年間通してローテを担った先発陣は全員負け越し。パ・リーグ最下位の日本ハムでは、15先発以上で勝ち越した投手はゼロだった。

 どんな投手にだって、試合で一度や二度はピンチが訪れる。勝敗を左右する局面で踏ん張れるか、崩れるか。勝負は練習の段階から始まっている。2009年と2011年に最多勝に輝き、中日の黄金期を支えた吉見氏は、偉大な先輩や苦しむ同僚たちを見てきた上で、ひとつの共通点にたどり着いた。

「キャッチボールをおろそかにしているピッチャーは1軍でも勝てないですし、もっと言うと大事な場面でやらかす。たとえ10勝しても、10敗するイメージがあります」

吉見氏の現役時代は“お金が取れるキャッチボール”…若手投手たちは驚き

 プロの世界でも、単なる肩慣らしだと捉えている投手は少なくない。「ただやってるだけだと、自分の調子の良し悪しだけしか考えていないと思います。そうすると、調子がいい時はこうだった、悪い時はこうだったという考えが出てこない。それは試合でも同じで、“打たれた・抑えた”の2択しか考えられない選手になる」と言葉に力を込める。

 たかが、ではなく、されど。超一流にもなると“お金が取れるキャッチボール”とまで言われる投手が存在し、現役時代の吉見氏もそのひとりだった。ペアを組んだ投手たちが目をまん丸にして「吉見さんのキャッチボール、やべーっす。こんなの初めて受けました」と口をそろえて驚くのは、中日の若手の“通過儀礼”のようなものだった。

 その吉見氏が「意図あるキャッチボール」の代表例として挙げたのが、日米通算125勝の川上憲伸氏と、トヨタ自動車の先輩である元日本ハムの金子千尋氏。さらに現役では中日の後輩・柳裕也投手を引き合いに出す。今季こそ打線に足を引っ張られる形で大きく負け越したが「彼のキャッチボールは勝てるキャッチボール。だから、何を考えてやってるのかを聞いてもすぐ答えられると思う」と言う。

 小学生からプロまで、相手に向かってボールを投げる行為は一緒だが、その中身次第で未来は大きく変わってくる。「何かを発見したり、気づいたりしたことを試合に生かしてほしい。キャッチボールさえしていれば、大丈夫ってわけじゃないですけど、パフォーマンスは確実に上がると思います」。侍ジャパンの投手コーチ就任が内定している元右腕は、練習から目を光らせている。

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(木村竜也 / Tatsuya Kimura)

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