野球ママを悩ます「懇親会」という名の飲み会 “無言の圧”はNG…他チーム移籍検討も

「懇親会」という名の飲み会の存在に悩む野球少年の保護者も(写真はイメージ)
「懇親会」という名の飲み会の存在に悩む野球少年の保護者も(写真はイメージ)

野球少年をもつ母親たち…それぞれの“懇親会”対策

 少年野球の活動そのものではないが、保護者を戸惑わせるのが「懇親会」「反省会」と呼ばれる飲み会だとよく言われる。強制ではないものの、参加した方がいいのか、断ってもいいのか、悩ましく面倒だという声は多い。

 あるママは「参加は強制ではないけれど、ママたちから孤立しそうとか、監督に悪い印象を与えるのではとか、あれこれ考えてしまう」と言う。参加したらしたで、話の輪にも入れず、お酒も飲めないのでひたすら忍耐の時間を過ごした上に、割勘で5000円を払う結末に「帰り道もずっとムカムカしている」。そういう性分の自分が「嫌になってくる」のだと話してくれた。

 では、少年野球ママたちは、こうした「飲み会」にどう対応しているのだろうか。

 比較的よく聞くのは「試合や練習後の“反省会という名の飲み会”には、ほとんど行かない。でも納会や祝勝会は年に1~2回で子どもも参加するし、監督たちへお礼の言葉を伝えるために出るようにしている」というケースだ。

「最初の1時間程度は顔出しして、ママたちと情報交換したりコーチたちに子どもの様子を聞いたりして、あとはまとめ役のママにサッとお金を渡して帰宅する」という人もいるし、「3~4回に1度くらい、パパが在宅で子どもを見てもらえるタイミングで参加している。監督・コーチから子どものことも聞きたいし、お酒の場だと話しやすいから」と折り合いをつける人もいる。

「私は、わが子の様子を知りたければグラウンドに見に行けばいいと思っているし、監督たちと個人的に話をしたいとも思わない。夜の部はすべて断ると決めている。そう決めてしまえば悩まないし、夜は出られない人ということで落ち着く」と言うママもいた。

「参加しないと監督が不機嫌になる」という困ったチームも

 それでも中には「飲み会に参加しないと監督が不機嫌になる」「参加しないと子どもへの対応も邪険になる」という困った状態のチームもあると言う。

 創設40年で全国優勝4度の実績をもつ福島県いわき市の「常磐軟式野球スポーツ少年団」の天井正之監督に、こうしたママたちの悩みを伝えたところ、「飲み会に参加していないからと気分を害する監督というのはどうなのか」と疑問を呈し、極端な場合には他のチームを検討してもよいのでは、と答えてくれた。同少年団でも祝勝会などはあるが、単なる“飲み会”は行っていないという。

 そうした少年野球チームもある一方で、試合後や練習後に監督たちや保護者が集まる飲み会が慣例になっているチームがあるのも事実だ。

 懇親会という名の飲み会は、少年野球に限らず、他のスポーツ少年団でもPTAでもつきまとう問題である。慰労会とか反省会とか名称こそ違えども、飲み会は単なる飲み会である。楽しく過ごせる人は参加すればいいし、行きたくなければ行かなくていい。チームによっては、交流の場として飲み会を活用しているところもあるかもしれない。しかし、参加しなければいけないような「無言の圧」が生まれると、ママたちにとって「懇親会という名の飲み会」は悩みの種になってしまう。

 ママたちは、白球を追いかけた子どものグラブにすっぽりボールが収まった瞬間に「うわあ!」と思わず飛び上がり、塁に出てベースからちょっと離れだすと(走るのかしら、アウトにならないかしら)とドキドキし、ちょっぴりワクワクもしてくる。洗濯に追われ「んもう! 泥落とすのが大変なのよ!」と愚痴は言うけれど、干したユニホームをピンと伸ばしながら、ふと子どもの成長に思いを馳せたりもする。「少年野球なんて面倒だと思っていたけど、まぁいいか!」と少しだけ、思いが変わってくることだってある。

 そんなママたちの奮闘に水を差すような、「名もなき飲み会の断り方」なんて悩みがなくなることを願うばかりだ。

(大橋礼 / Rei Ohashi)

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