暴力・暴言を全て根絶へ…「指導者ライセンス制度」導入した少年野球リーグの“願い”
全国約9300人のボーイズリーグ登録者が対象…ライセンスの有効期限は1年
大阪市内にある公益財団法人日本少年野球連盟(ボーイズリーグ)の本部で10日、野球少年・少女の未来を見据えた「指導者ライセンス制度」についての記者会見が行われ、指導者に対するリーグ独自の講習会の実施と、令和6年度(2024年度)から有効期限1年の指導者証を交付することを発表した。
指導者の質の向上と指導方針の統一を図ることで、非暴力・非暴言を実現し、同連盟に所属する約2万4000人の球児へ、怪我リスクの少ない適切な指導環境を確保することが狙いだ。同連盟に登録している721チームの代表・副代表・監督・コーチ・マネジャーから、同連盟・ブロック・支部の役員、審判員(BL2級以上)も含む全国約9300人が「指導者ライセンス制度」の対象に含まれる。
かねてより一切の暴力・暴言を禁じてきた同連盟の惣田敏和会長は、「少年野球界で唯一の公益財団法人であるボーイズリーグが率先して行動することで、他リーグも追随することにつながれば、少年野球を取り巻く環境に変化が生じて、野球界の発展の一助になればとの希望を抱いています」と、指導者改革へ力を込める。
小学生や中学生への指導には、年代的に反抗的な言動があったり、怠慢ととられるプレーをしたりなどの“思春期特有”の難しさがあり、「ダメだとわかっていながら、つい手を出してしまったり、暴言と受け止められるキツい口調になってしまったりするケースがある」と説明。「そういったときにどう対応すべきなのか」を学び、反省する場として年1回の講習会を実施し、野球を通じた心身育成とスポーツマンシップの理解を示せる指導者の育成を目指すという。
さらに講習会では、怪我をさせない起用方法や練習方法、栄養バランスの良い食事のとらせ方などについて、各方面の専門家による指導も行われる予定だ。「今年のドラフトではボーイズのOBが47人指名されました。だけど、そういう子ばかりではなく、一般企業に就職して活躍しているOBもいます。未来がある子どもを怪我で潰してしまってはいけない」と語り、どんな職種に就いても身体が資本であり、理不尽な指導によって失ってはならないことを説明した。
「これは、指導者の“心のライセンス”なんです」と惣田会長。数多くのプロ野球選手を輩出してきた“老舗”リーグは、暴力・暴言行為の根絶に向けて、より目を光らせていく。
(喜岡桜 / Sakura Kioka)
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