キツくて嫌な冬練習…“ビタ止め捕手”推奨の飽きさせない工夫 続ければ「変われる」

捕手コーチの緑川大陸氏【写真:伊藤賢汰】
捕手コーチの緑川大陸氏【写真:伊藤賢汰】

鷹戦士たちも指導の捕手コーチ・緑川大陸氏…シーズンオフは「挑戦する期間」

 捕手は冬の期間、どんなテーマを掲げて練習すれば良いのだろうか。ソフトバンクの甲斐拓也捕手らが師事するなど、小学生からプロまで幅広いカテゴリーの選手をサポート。“ビタ止め捕手”として知られる捕手コーチの緑川大陸氏は、「量」と「挑戦」をキーワードに挙げる。Full-Countでは、少年野球の現場を知る巷で話題の凄腕コーチ12人を取材。試合がなく、寒い時期だからこそ野球が上手くなる過ごし方がある。

 小学生からプロまで幅広く指導している緑川コーチには、小・中学生の保護者から冬場になると圧倒的に増える質問がある。「冬の期間は、どんな練習をすれば良いですか?」。現状の力や課題は個々に違うため、練習内容は一様ではない。ただ、緑川コーチは「量にチャレンジしてほしい」と選手にも保護者にも伝えている。

「暑い時期は体力が落ちますし、熱中症のリスクもあります。寒い時期は練習量を増やせるので、どんなメニューでも回数を多めに設定するように提案しています」

 緑川コーチは、試合がないシーズンオフを「挑戦する期間」と位置付ける。大事な試合でチャレンジできなかったプレーの精度を上げ、春になったら自らの引き出しにできるようにする。シーズンで見えた自分の課題や弱点を明確にし、冬場に改善することで成長した姿を披露できる。

 技術向上に近道はない。緑川コーチは課題克服につながるトレーニングを選手に提案するが、どのメニューも継続してこそ、パフォーマンスアップにつながる。捕手の基本となる構え方やフットワークなどを強化するトレーニングの内容は決して楽ではない。選手には「キツくて嫌なのはわかる。でも3か月だけやってみよう」と声をかける。

 3か月続ければ、自分の変化を実感するという。そして、続けられた自信も重なって、継続する大切さに気付く。緑川コーチのスクールでは、実際に3か月トレーニングを続けて成果を感じた選手が、これから頑張ろうとする選手に「きついけど変われるよ」と自らの体験を語っている。

計算やじゃんけん…トレーニングにゲーム性を取り入れる

 子どもたちがトレーニングを継続できるように、緑川コーチはゲーム性や遊びの要素を盛り込んでいる。例えば、選手が後ろ向きに構え、反転してからボールをキャッチする練習では、ボールを投げる役の人が偶数を言ったら右回り、奇数なら左回りで反転して捕球する。さらに難易度を上げて、足し算や掛け算の答えが奇数か偶数かによって動きを変える。

 他にも、こなすことが難しい量の練習メニューを提示し、選手がじゃんけんで勝ったり目標タイムを上回ったりしたら、メニューを減らせるルールをつくって練習を進める。すると、選手たちはメニューを減らすために必死になるだけではなく、残ったメニューに責任を持って前向きに取り組むという。

「練習がきついのは変わりませんが、選手を飽きさせない工夫は大切です」と語る緑川コーチは、11月27日から5夜連続で開催される「大人のための少年野球塾」に参加予定。冬場は練習量を増やし、できなかったプレーを習得するチャンス。考え方や過ごし方次第で、春を迎える楽しみが大きくなる。

鷹・甲斐拓也らプロ選手も師事…緑川大陸コーチも“参戦決定”!

 Full-Countと野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」では、11月27日から5夜連続でオンラインイベント「凄腕コーチ12人が技術指導 大人のための少年野球塾2023 〜子どもを伸ばすための集中講座〜」を開催。小・中学生の現場で豊富な実績を持つ指導者や、話題の野球塾コーチ・トレーナー12人が出演し、オンライン配信で、選手たちを成長へ導くドリルやトレーニングを実技解説する。詳細は以下のページまで。

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(間淳 / Jun Aida)

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