エラーOK…ノンプレッシャーで上達 気鋭の守備コーチ助言、“鬼ノック”は「必要ない」

内野守備コーチの武拓人氏【写真:伊藤賢汰】
内野守備コーチの武拓人氏【写真:伊藤賢汰】

“内野守備コーチ”の武拓人さんは600人を指導…SNSフォロワーは2.7万人

 野球シーズンもオフに突入。来年の飛躍に向けて、鍛錬の季節を迎えた。では、どんなアプローチをすれば上達が見込めるだろうか。Full-Countでは少年野球の現場を知る“凄腕コーチ”12人に取材。今回は、気鋭の“内野守備コーチ”、武拓人(たけ・ひろと)氏にオフシーズンの守備力強化法を教えてもらった。

 27歳の武氏は桐光学園、早大野球部出身で、2020年から主に内野守備を教える指導者として活躍。これまでに約600人を教えている。自身のインスタグラムのフォロワーは2万7000人超。それぞれの選手に合った守備指導が話題を呼び、人気を集めている。

「野球はグラブでボールを捕るスポーツです。いかに体に無理なく楽に(グラブを)扱えるか。選手の特性を見て、やりやすいものを提供しています。今は大体のことは改善できる自信はついてきました」と語る。

 捕球は“片手キャッチ”を勧める。全てが片手ではないが、実戦では両手よりも片手キャッチが多くなるため「キャッチボールも片手の比重を多くした方がうまくなると思います」と説明する。両手キャッチを前提としてボールを追った時よりも、守備範囲が広くなるという。左右に飛んだ打球に対して「片手で捕りに行く感覚の方が、1歩目が速くなります。1歩で2メートル、2歩で4メートルも違いが出てきます」と説明する。

冬の守備練習にスローイングは“不要”「捕ることに特化を」

 冬場の練習では、数多くノックを受けることを推奨するが、選手2人か3人に対してノッカー1人が理想。疲れない程度にインターバルを取りつつ、打球を受ける。1人の選手が間髪入れずにノックを受け続けるのは「体力をつけているだけで、必要ないと思います」と訴える。適度な間隔を空け、プレーを自分でフィードバックしてから次の打球に臨むことも重要だ。

 打球方向はランダムではなく、正面→右の打球を逆シングル→右の打球に頑張って足を使って正面→左の打球に腕を伸ばす→左の打球に頑張って足を使って正面、というように“カテゴリー”に分けた方が効率的。「最後にランダムで打ってもらえばいい。メリハリをつけた方が飽きずにできると思います」と述べる。

 実際にボールを投げる必要はないそうだ。「キャッチボールはやるとしても、体に負担がかかりますし、寒い中で腕を振るより、捕ることに特化した方がいいと思います」。いい形でバウンドに入る→捕球→ステップと正しい手順を踏めば、自然とスローイングも上達するという。

 オンシーズンの緊張感漂うシートノックとは異なり、伸び伸びできるのもオフシーズンの“利点”だという。「エラーしたらどうしようと考えると、どうしても動きに制限が掛かってしまいます。ノンプレッシャーの中でプレーした方が伸びると思います」。そう語る武コーチは、今月27日から5夜連続で行われる「大人のための少年野球塾」にも参加予定。まずはプレッシャーのない環境で数多くの打球を受ける。オフは内野守備上達にうってつけのシーズンと言えそうだ。

内野守備指導のスペシャリスト…武拓人コーチも“参戦決定”!

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(片倉尚文 / Naofumi Katakura)

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