狭くなる守備範囲…「イップス」が阻む本来の動き 問題は送球以前、“特効薬”は?

内野守備コーチの武拓人氏【写真:伊藤賢汰】
内野守備コーチの武拓人氏【写真:伊藤賢汰】

600人を指導する内野守備コーチ、武拓人氏のイップス克服法

 野球選手にとって冬場の過ごし方は重要だ。無理せぬ範囲で努力して力をつければ、翌シーズンの“立ち位置”も変わる。弱点を克服できれば、飛躍につながる。Full-Countでは、少年野球の現場を知る“凄腕コーチ”12人に取材。小学生からプロ野球選手まで指導する新進気鋭の“内野守備コーチ”、武拓人(たけ・ひろと)氏に、内野手に多い「イップス」と呼ばれる送球難克服法、さらに子どもの頃にやっておくべきことなどを聞いた。

「イップス」とは、心的要因などで思うようなパフォーマンスが発揮できなくなることをいう。野球では「送球」で生じることが多く、特に様々な距離を投げ分ける必要がある内野手に多いとされる。送球難に陥って外野に転向する選手も少なくない。これまでに約600人の守備指導をしてきた武氏によれば、送球以前に問題があることが多いという。

「打球に合わせる時点で、うまく(打球に)入れていないことが多い印象です。送球に不安があると、しっかり捕球してステップして投げようという意識が強くなり、守備範囲も狭くなってしまいます」

 ポイントは捕球にある。「ボールの見方、捕り方、ステップまでを完璧にしていくと、意外と何も考えずに投げられたりします」。リズムに乗った捕球は、送球にもいい影響を与えるという。

少年たちに指導をする武拓人氏【写真:本人提供】
少年たちに指導をする武拓人氏【写真:本人提供】

小学生でダンス世界大会準Vを経験…子どもたちに推奨する異競技挑戦

 武さんにもイップスで悩む選手から多くの相談が寄せられる。強豪高校でもイップスに苦しみ、1桁の背番号を逃した選手が多いそうだ。

「トーナメントはミスできないというプレッシャーに襲われます。練習のノックも試合を想定して行われ、エラーできない状況。プレッシャーがかかる時点で、動きに制限が生まれてしまいます」。こうした重圧を少しでも取り除くためにも、ノンプレッシャーのオフ期間にたくさんノックを受けて“捕球力”を高めることが重要になる。

 小さい頃に運動神経を高めることも勧める。武さん自身はダンスに取り組み、小学3、4年生時に世界大会で準優勝。リズム感、軽快なフットワークなどが養われた。「ダンスの経験は間違いなく生きました」。現在勧めるのはスピード、敏捷性などを養う「キャスク」というトレーニングだ。

 武さんは小学高学年から野球に本格的に取り組み、中学硬式の強豪「湘南クラブボーイズ」ではU-15日本代表に。神奈川の強豪、桐光学園高1年(2012年)で背番号「6」を着けて夏の甲子園に出場するなどアマ球界で大活躍した。

「内野守備は運動神経がないと、上に行くのは難しい。(取り組むのは)早ければ早いほどいいと思います」と語る武さんは、11月27日から5夜連続で開催される「大人のための少年野球塾」に参加予定。さらなる飛躍へ、野球以外の取り組みも重要な要素かもしれない。

SNSフォロワーは2.7万人…内野守備指導のスペシャリスト・武拓人コーチも“参戦決定”!

 Full-Countと野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」では、11月27日から5夜連続でオンラインイベント「凄腕コーチ12人が技術指導 大人のための少年野球塾2023 〜子どもを伸ばすための集中講座〜」を開催。小・中学生の現場で豊富な実績を持つ指導者や、話題の野球塾コーチ・トレーナー12人が出演し、オンライン配信で、選手たちを成長へ導くドリルやトレーニングを実技解説する。詳細は以下のページまで。

【大人のための少年野球塾2023・詳細】

【申し込み1000人突破!】“凄腕コーチ”12人が集結 「大人のための少年野球塾」オンラインで開催

【参加はTURNING POINTの無料登録から】
https://id.creative2.co.jp/entry

(片倉尚文 / Naofumi Katakura)

少年野球指導の「今」を知りたい 指導者や保護者に役立つ情報は「First-Pitch」へ

 球速を上げたい、打球を遠くに飛ばしたい……。「Full-Count」のきょうだいサイト「First-Pitch」では、野球少年・少女や指導者・保護者の皆さんが知りたい指導方法や、育成現場の“今”を伝えています。野球の楽しさを覚える入り口として、疑問解決への糸口として、役立つ情報を日々発信します。

■「First-Pitch」のURLはこちら
https://first-pitch.jp/

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY