小学生に起こる「肘を前に」の勘違い ドラ1指導、専門家の解決策は“お腹投げ”

Mac's Trainer Roomの高島誠氏【写真:伊藤賢汰】
Mac's Trainer Roomの高島誠氏【写真:伊藤賢汰】

トレーナー・高島誠氏が危惧…小学生投手は「ダーツのような投げ方が多い」

 投球や送球の課題を解決する方法は、ボールを投げることだけではない。オリックス・山岡泰輔投手をはじめ、30人以上のプロ野球選手を指導してきたトレーナーの高島誠氏が29日、野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」のオンラインイベントに出演した。小学生に多い「ダーツ投げ」を直すには、球を持たないメニューの方が有効だという。

 高島氏はオリックスやMLBのナショナルズでトレーナーを務めた経験を持つ。現在は小学生からプロ野球選手まで、幅広く指導している。“凄腕コーチ”12人が5夜連続で登場するイベントで講師を務め、小学生で最も多い投げ方のクセについて語った。

「“肘抜き”といって、ダーツのような投げ方をする選手が多いです。体を使えていないので強い球を投げられませんし、肩と肘への負担が大きくなってしまいます。『肘を前に出して』という指導者の言葉は本来、球をリリースする前に肘を前に出して腕をしならせる動きを意味しますが、子どもたちは文字通り『肘を前に出して』リリースしてしまいがちです。言葉だけでは伝わりにくい部分があります」

 高島氏は「お腹を使った投げ方」を理想としている。イベントでは、“肘抜き”のクセを直し、お腹に力を入れる感覚を身に付ける方法を紹介した。

 まずは、練習する選手が足を前後に開いてリリースの形をつくり、練習をサポートするパートナーに向かい合って立ってもらう。選手はパートナーに、投げる方の手の平を押してもらい、その力に負けないようにリリースする動きで押し返す。この時、腕や肘にストレスがかかっている場合は、腕や肘に頼った投げ方をしていることになる。大きな力を生み出すために必要な“お腹”を使えているのかチェックできる。

お腹の感覚について説明する高島氏【写真:伊藤賢汰】
お腹の感覚について説明する高島氏【写真:伊藤賢汰】

投げ方の修正には「柔軟性が身に付くエクササイズが大事」

 うまくお腹を使って投げられない選手に対し、高島氏は野球よりも大きな球やチューブを使ったメニューを取り入れている。例えば、他球技のスローインの動きでお腹に力を入れ、「お腹→胸→腕」の順番で前に出して球を投げる。自然に肘がしなり、ダーツ投げにならない動きを覚えられる内容となっている。投球で大切な胸郭や肩回りの柔軟性を養うメニューとして、ブリッジも勧めている。

「投げ方を修正するためには投球練習だけではなく、意識しなくても体がしなる柔軟性を身に付けたり、胸郭を使う動きを習得したりするエクササイズが大事です。たくさん投げることで課題が解決すると思われがちですが、そうではありません。コントロールに課題があるのであれば、根本的にコントロールが良くない投げ方を見直す必要があります」

 球を投げながら動きを修正するのは難しい。また、球数が増えれば肩や肘を消耗する。体に負担がかかる投げ方を見直し、練習するほど怪我のリスクが高まる“悪循環”に陥らないようにしたい。

12月1日(金)まで申し込み受付中…参加費は無料

 Full-Countと野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」では12月1日までの期間、午後8時からオンラインイベント「凄腕コーチ12人が技術指導 大人のための少年野球塾2023 ~子どもを伸ばすための集中講座~」を5夜連続で開催中。小・中学生の現場で豊富な実績を持つ指導者や、話題の野球塾コーチ・トレーナー12人が出演し、選手たちを成長へ導くドリルやトレーニングを実技解説する。参加費は無料。最終日の午後7時まで参加申し込みは可能。

【大人のための少年野球塾2023・詳細】

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(間淳 / Jun Aida)

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