捕手やる子から「マイナスの言葉ばかり」 潜む魅力…球審にストライクと言わせる術
捕手コーチ・緑川大陸氏が解説…フレーミングの技術は「短時間で変わる」
うまくプレーできれば投手の手柄。失敗すれば指導者に怒られる。捕手にはマイナスなイメージもある。しかし、キャッチャーコーチの緑川大陸氏は、フレーミングをはじめとするキャッチングの技術を磨くと、捕手の楽しさがわかると強調する。11月30日に開催された野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」のオンラインイベント「大人のための少年野球塾2023」で講師を務め、捕手の面白さにつながる捕り方や構え方を実演した。
5夜連続で12人の“凄腕コーチ”を招くイベントは4日目を迎えた。この日登場した緑川氏は、ソフトバンクの選手にも直接指導しているキャッチャーコーチ。捕手のプレーで最も多いキャッチングを中心に小学生からプロまで幅広くサポートしている。緑川氏には指導者としての明確な目標がある。
「捕手をしている選手からは『防具が暑い』『痛い』『監督に怒られる』などマイナスな言葉ばかり聞こえてきます。そこを変えたいと思っています。野球ゲームの画面は“捕手目線”ですが、それに近いことを実際の試合でできるのが捕手です。本来、楽しいポジションなんです」
緑川氏が指導で重点を置くのが、審判の目線を意識したキャッチング。野球中継は中堅方向からの映像で投球を見ることになるが、ストライクとボールを判定する審判は捕手の真後ろに立つ。つまり、捕手には「審判がストライクをコールするキャッチングが求められる」と緑川氏は考えている。
そのために重要になる技術の1つが「フレーミング」。MLBでは「審判がストライクとコールする確率を上げる捕球技術」と定義しているという。
捕手技術が問われる「低めのキャッチング」のポイント
ストライクと判定してもらえるかどうか、捕手の技術が特に問われるのが低めのキャッチングだ。
緑川氏はミットのウェブを下に向け、肘を支点にして内旋を使った捕り方を理想とする。「投手は傾斜のあるマウンドから投げるので、捕手は上から下に落ちてくる投球の軌道にミットを入れることが大切です」。一塁手がショートバウンドをすくい上げる動きをフレーミングの基本としている。イベントではペットボトルやバットを使って自宅でできるトレーニングを紹介した。
自在にミットを操る上では、構え方を大切にしている。緑川氏は地面に「両膝をつけない」「右膝だけつける」「左膝だけつける」と、3つのパターンのポイントやメリットを解説した。片膝をつく構え方は姿勢を低くできるため、体の大きな捕手は低めの投球を捕りやすくなる。近年メジャーで主流になっている右膝をつけるパターンは、二塁送球の体重移動やステップをしやすい利点もあるという。
緑川氏は「フレーミングの技術は短時間で変わる」と話す。そして、子どもたちは自分の変化を感じ、キャッチングの楽しみに気付く。スローイング、ブロッキング、バント処理など捕手のプレーは多岐にわたるが、圧倒的に多いのがキャッチング。審判のストライクコールを引き出す技術はチームを勝利に導く力がある。
本日午後7時まで申し込み受付中…参加費は無料
Full-Countと野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」では本日12月1日までの期間、午後8時からオンラインイベント「凄腕コーチ12人が技術指導 大人のための少年野球塾2023 ~子どもを伸ばすための集中講座~」を5夜連続で開催中。小・中学生の現場で豊富な実績を持つ指導者や、話題の野球塾コーチ・トレーナー12人が出演し、選手たちを成長へ導くドリルやトレーニングを実技解説する。参加費は無料。午後7時まで参加申し込みは可能。
【大人のための少年野球塾2023・詳細】
【参加はTURNING POINTの無料登録から】
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(間淳 / Jun Aida)
球速を上げたい、打球を遠くに飛ばしたい……。「Full-Count」のきょうだいサイト「First-Pitch」では、野球少年・少女や指導者・保護者の皆さんが知りたい指導方法や、育成現場の“今”を伝えています。野球の楽しさを覚える入り口として、疑問解決への糸口として、役立つ情報を日々発信します。
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