「力が逃げてしまう」打席のNG姿勢 大谷翔平指導の専門家、改善策は“深くから浅く”

「PROGRESS Sports Performance Lab.」の白水直樹氏(中央)【写真:伊藤賢汰】
「PROGRESS Sports Performance Lab.」の白水直樹氏(中央)【写真:伊藤賢汰】

日本ハムと巨人でコーチなどを13年…白水直樹氏が解説する前傾姿勢

 正しい前傾姿勢が、野球のパフォーマンスを上げる。トレーナーやコーチとして日本ハム時代の大谷翔平投手や近藤健介外野手らをサポートした白水直樹氏が1日、野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」のオンラインイベント「大人のための少年野球塾2023」に登場した。白水氏は、効果的に力を出すためには前傾姿勢が重要で、そのためのトレーニングとしてスクワットを勧めた。

 日本ハムと巨人で計13年間、トレーナーやコーチを務めた白水氏は現在、トップレベルの選手を中心に小学生にも指導している。重点を置くのは前傾姿勢。5夜連続で12人の“凄腕コーチ”を招くイベントでも、基本となる姿勢を解説した。

 白水氏は前傾姿勢のポイントに「角度は違っても足首、膝、股関節全てを曲げて動かすこと」を挙げる。小学生は特に、股関節をうまく曲げられず、上体が反っている選手が多いという。白水氏は「真っすぐ立とうとする気持ちはわかりますが、前傾しないとお尻をうまく使えずに力が逃げてしまいます」と指摘する。

 正しい前傾姿勢の感覚を覚える時、白水氏は深い格好から浅い格好へ移行していく方法を伝えている。

 最初は両肘を両膝にくっつけて深い前傾姿勢をつくる。両手を前に出せば、内野手がゴロを捕球する姿勢になる。そこから足、膝、股関節を曲げる角度を浅くすると、走塁でスタートを切る構えになる。そして、さらに浅くすれば、打撃の構えへとつながる。段階を踏んで感覚を身に付けていくわけだ。

 白水氏は「前傾姿勢をつくる時に膝に体重が乗って、上体が起きてしまう小・中学生が多いです。姿勢を浅くするときは股関節だけ、膝だけではなく、足首、膝、股関節と全体を浅くすることが大切です」と語った。

股関節の屈曲について解説する白水氏【写真:伊藤賢汰】
股関節の屈曲について解説する白水氏【写真:伊藤賢汰】

「小学生は自分の体重だけで十分な負荷になる」と白水氏

 前傾姿勢の習得で効果的なトレーニングが「スクワット」。足を肩幅より少し広く開いて、膝がつま先より前に出たり、かかとが地面から浮いたりしないように両膝を曲げる。お尻を後ろに引くイメージを持ち、膝を曲げ伸ばしした時に太ももの裏やお尻を使っている感覚があれば、正しいスクワットができている証しとなる。

 白水氏は「小学生は重りを持たなくても自分の体重だけで十分な負荷になります」と話し、両手を腰に当てて20回を3セット、朝、昼、晩の3回行うことを勧めている。

 野球の動きが加われば、前傾姿勢を保つ難易度は格段に上がる。「打者は変化球が来ると反射的に体がのけ反ってしまいます。プロ選手は反射が出ないようにトレーニングしています」と白水氏。パフォーマンスアップは、バットもグラブも持たない状態で正しい前傾姿勢をつくるところから始まる。

(間淳 / Jun Aida)

少年野球指導の「今」を知りたい 指導者や保護者に役立つ情報は「First-Pitch」へ

 球速を上げたい、打球を遠くに飛ばしたい……。「Full-Count」のきょうだいサイト「First-Pitch」では、野球少年・少女や指導者・保護者の皆さんが知りたい指導方法や、育成現場の“今”を伝えています。野球の楽しさを覚える入り口として、疑問解決への糸口として、役立つ情報を日々発信します。

■「First-Pitch」のURLはこちら
https://first-pitch.jp/

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY