ゴロもフライも自在…家族で練習可能 保護者の“悩み解決”用具、開発に込めた思い

「モバイル壁ネット」を持つ今泉翔太さん【写真:フィールドフォース提供】
「モバイル壁ネット」を持つ今泉翔太さん【写真:フィールドフォース提供】

野球未経験や運動が苦手な保護者も一緒に練習できる「モバイル壁ネット」

 子どもと守備練習したくてもノックが打てない――。野球未経験のパパや運動が苦手なママの力となるアイテムが発売されている。野球用品を開発・販売するフィールドフォースの「モバイル壁ネット」。ノックを打てなくても、狭いスペースでもゴロ捕球の練習ができるため、両親はもちろん、じいじやばあばも孫と一緒に練習を楽しんでほしいという思いが込められている。

 かつては当たり前だった親子でのキャッチボールやノックは、珍しい光景になりつつある。野球経験のない父親は少なくない。首都圏では野球ができる場所も限られている。

「子どもと一緒に練習したいけど、技術もスペースもない」。こうした悩みを解決するアイテムが、フィールドフォースの「モバイル壁ネット」。ネットを上下左右に傾けるだけで、実戦に近い打球を捕る練習ができる。

 モバイル壁ネットは縦約52センチ、横約80センチ、高さ約13センチのネットに持ち手がついている。練習相手はネットを持ち、選手がネットを目がけて送球したボールをネットで弾き返すだけ。ネットの角度によって打球方向を自在に変えられるだけではなく、フライやライナーの練習もできる。

 最大の特徴は、その軽さにある。開発当初は約3キロあったが、スチール製のフレームを空洞化するなどして1.4キロまで軽量化した。腕力に自信のないママたちもネットを自在に操れる。購入者からは「子どもが楽しそうに練習している」といった声が届いている。

きっかけは「ペッパーを省くチームが増えている」危機感

 開発のきっかけは危機感だった。学童野球とつながりが深いフィールドフォースの社員たちは、ペッパーと呼ばれるトスバッティングを練習メニューからなくしているチームが増えている現実を知った。ペッパーは打撃に加えて守備の基本を学ぶ練習としても有効で、フィールドフォースと親交のある侍ジャパンの井端弘和監督も重要視しているという。

 モバイル壁ネットの開発に携わった今泉翔太さんは、「トスバッティングは大切な練習にもかかわらず、子どもたちは投手に打ち返すことが難しいという理由で省くチームが増えています。井端さんは守備でも大事な練習と話していました。それなら、バットよりもボールが当たる面を広いネットを使って、ネットを動かせるようにすればよいのではないかと考えました」と開発の経緯を語った。

 自身も社会人まで野球を続けていた今泉さんは、商品を開発することで昔の光景を取り戻したいと考えている。「野球未経験の方がノックを打つのは難しいと思いますが、モバイル壁ネットなら両親も祖父母も子どもたちと一緒に練習できます」。一緒に練習して選手の成長を感じ、野球が共通の話題になる家族を思い描いている。

(間淳 / Jun Aida)

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