楽天新監督が説く“体づくり”の大切さ プロ目指す子へ…現代野球は「フィジカル重要視」

野球教室で指導をする楽天・今江敏晃監督【写真:荒川祐史】
野球教室で指導をする楽天・今江敏晃監督【写真:荒川祐史】

名手で鳴らした楽天・今江新監督「左足を前に出した方がグラブも前に出る」

 軟球特有の打球に、高く跳ね上がる内野ゴロがある。特に少年期、バウンドを合わせられずに足を止めた結果、頭の上を越されてしまったという経験を持つ内野手も少なくないだろう。投手としては打ち取った打球だけに、何としてもアウトにしたいところだが、事はそう簡単ではない。

 そんな難しい打球への対応策として、楽天の今江敏晃新監督が1つのヒントをくれた。3日、東京・西東京市の早大・安部球場で、西東京市、小平市、東久留米市の少年野球チームを対象とした「GRAFARE(グラファーレ)ジュニア野球教室」(タクトホーム株式会社主催)に参加し、守備練習で内野手を指導。高く弾む打球の対策として、「前に出て、ここで捕りたいと思ったところに左足(左投げなら右足)を出す」とアドバイスした。

「(右投げの人は)右足を前に出して捕るより、左足を前に出して捕りにいった方が、グラブも前に出ます。ファーストと一緒です。左足を前に出すから、ショートバウンドで捕ることができる」

 一般的にゴロが捕りやすいとされるポイントは、打球の落ち始めから、ショートバウンドの間とされる。逆に、捕りにくいポイントはその先のハーフバウンドから頂点までだ。

 右投げの内野手は、まず打球が弾んだ瞬間に、前へとダッシュする。右足を前に出して捕球体勢に入れば、グラブを持つ左手を十分に伸ばすことができず、落ち際やショートバウンドで捕球するイメージが、ハーフバウンドや頂点となり、エラーをする確率が高くなる。逆に、左足を前にすれば左手も十分に伸びるので、落ち際やショートバウンドで捕球することが可能になる。

「左足を前にして捕りに行く」捕球方法を実演する今江監督【写真:荒川祐史】
「左足を前にして捕りに行く」捕球方法を実演する今江監督【写真:荒川祐史】

育成年代にまず大切なのは「食事」と「体づくり」

 現役時に名手で鳴らした今江監督の言葉だけに、説得力がある。ロッテ時代には三塁手部門で2005年から4年連続でゴールデン・グラブ賞を獲得。西岡剛さん(北九州下関フェニックス選手兼監督)との鉄壁三遊間コンビで、2005年、2010年の日本一に大きく貢献した。

 そんな今江監督も、学童野球の京都・向陽オックスでプレーした軟式経験者。高く弾む打球の難しさは熟知している。もちろん、練習も数多くこなしてきたが、育成年代にまず大切なこととして「食事」と「体づくり」を挙げる。

「とにかくプロ野球選手になりたいという夢を持って、家の周りとかをよく走っていましたけど、やっぱり食事ですよね。まずは体づくりというのが凄く重要になってくる。しっかりとした体がないと、練習もできない。現代はフィジカルが重要視されていて、技術をフィジカルでカバーするということもできる。それも含めて、しっかりとした体づくりが大切なのかなとは思います」

 今江監督自身は小6で身長が174センチに達し、よくコーチと間違われていたそうだ。技術を向上させていくためにも、まずは強い体が不可欠。練習と栄養、そして休養のバランスをしっかりと取り、最大限のパフォーマンスを発揮したい。

(内田勝治 / Katsuharu Uchida)

少年野球指導の「今」を知りたい 指導者や保護者に役立つ情報は「First-Pitch」へ

 球速を上げたい、打球を遠くに飛ばしたい……。「Full-Count」のきょうだいサイト「First-Pitch」では、野球少年・少女や指導者・保護者の皆さんが知りたい指導方法や、育成現場の“今”を伝えています。野球の楽しさを覚える入り口として、疑問解決への糸口として、役立つ情報を日々発信します。

■「First-Pitch」のURLはこちら
https://first-pitch.jp/

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY