「余ると危ない」靴紐の結び方 少年期に潜むリスク…小さな工夫で磨ける“洞察力”

少年期に注意したいスパイク紐の結び方【写真:荒川祐史】
少年期に注意したいスパイク紐の結び方【写真:荒川祐史】

プロで20年間プレー…坂口智隆さん「輪っかを隠すことも、怪我をしないための準備」

 プロが次世代へと伝授したいことは、何も野球の技術だけではない。用具にちょっとした工夫をするだけで、最大限のパフォーマンスを発揮することができ、怪我を未然に防ぐことだってできる。

「これでいい?」「難しい!」。3日、東京・西東京市の早大・安部球場で開催された、西東京市、小平市、東久留米市の少年野球チームを対象とした「GRAFARE(グラファーレ)ジュニア野球教室」(タクトホーム株式会社主催)で、坂口智隆さん(元ヤクルト)の周りには、人だかりができていた。

 本格的な技術指導に入る前のウォーミングアップ中、野球教室では珍しいと言える、スパイクの紐の結び方を即興でレクチャーしていたのだ。最近では、脱着しやすい3本ベルトのマジックテープタイプも多いが、足全体をフィットさせるのに適している紐タイプも根強い人気を誇る。

「紐のスパイクとベルトのスパイク、どちらも活躍している選手もいるし、それぞれの好みもあるので、どちらがいいかとは一概には言えないですけど、しっかりと足にフィットさせることが大事です」

 少年期はまだ足も小さく、蝶々結びをしても、紐が長く余るケースが多い。坂口さんは、紐と輪っか同士をもう一度結び、さらに結び目から先の部分を、スパイクに通している紐の下にくぐらせて固定する方法を子どもたちに勧めていた。普段何気なく行っている蝶々結びに、ほんの少しだけアレンジを加えるだけで、足元を気にすることなく、全力でプレーできる。

「小学生の時は、紐が余って危ないので、僕も先輩たちがみんな紐の下に入れているのを見て、そこから(真似して)やっていました。輪っかの部分がスパイクに引っかかって怪我をすると、もったいないですよね。紐を隠すことも、怪我をしないための準備だと思います」

野球教室で講師を務めた坂口智隆さん【写真:荒川祐史】
野球教室で講師を務めた坂口智隆さん【写真:荒川祐史】

ユニホームの着こなしも意識…相手の変化への察知能力にも

 幼少の頃から「毎日何かしら野球のことを考えていた」という坂口さんは、ユニホームの着こなしにもこだわった。スパイクの紐同様、先輩たちを観察し、格好良く着こなしていれば、真似をした。

「ユニホームの着こなしは、小学校からプロに入るまでずっと意識していました。ユニホームをズボンの中に入れすぎても見栄えとしては格好よくない。格好良く着ることができる人を、ずっと意識していました」

 そうして養われていった細かな洞察力は、プロ入り後、打席内や外野守備で、相手投手や打者のわずかな変化を察知するのに役立った。大きな怪我をすることなく、20年間も第一線でプレーし、ゴールデン・グラブ賞を4度獲得した背景には、こういった準備の積み重ねがあったことは明白だ。

 技術は簡単には伸びないかもしれないが、準備や観察なら今すぐにでもできる。野球教室は、一流プロの心構えも知ることができる絶好の機会でもある。

(内田勝治 / Katsuharu Uchida)

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