逸材小学生の情熱「修学旅行いきたくない」 母親も驚き…“野球中心”家族の日常

声援を送る中日ドラゴンズジュニアの保護者たち【写真:木村竜也】
声援を送る中日ドラゴンズジュニアの保護者たち【写真:木村竜也】

中日Jr.に“大応援団”…労を惜しまぬ保護者の願い

 小学生がプロ野球選手と同じユニホームでプレーできる夢舞台「NPB12球団ジュニアトーナメント KONAMI CUP 2023」が、神宮球場と横浜スタジアムで26日に開幕する。セレクションを経て各チームのメンバーに選ばれた小学5、6年生たちは、普段の所属チームでは“エース級”の有望選手ばかり。野球に情熱を捧げる日常には、無償の愛を注ぐ保護者の支えがある。

 ようやく冬の訪れを感じさせた11月下旬、2年ぶりの優勝を目指す中日ドラゴンズジュニアは、岐阜・関市の球場で中学生と練習試合を行っていた。史上最多315人の応募の中から選ばれた16人は、歳上相手にもかかわらず圧倒。地元の少年野球チームなどが見学に訪れる中、三塁側スタンドには“青い一団”。本家・中日ドラゴンズと同じ応援歌を使って声援を送る保護者らの姿があった。

 我が子のために、歌詞や振り付けを習得した。この応援方法を考え、先頭に立って指揮を執るのは、背番号「54」をつける松井一真くん(愛知・豊橋栄ドリームズ)の父・丈晴さん。「子どもが気持ちよくプレーできるのであれば、親は全力で声を出すことしかできないので。当日は東京の私設応援団の方にも来ていただいて、ラッパを使って応援します」と張り切る。

 中日ジュニアは、愛知のほか三重、岐阜、静岡の選手で編成。週末の練習や試合には、長時間かけて球場に向かう家庭も多い。「朝早いのは大変ですね、あと食事。よく食べるんで」と笑う母親も。ひと知れぬ苦労でヘトヘトでも、生き生きと白球を追う子の姿を見ると奮い立つ。保護者たちは口を揃えて言う。

自ら練習を手伝う母も…子どもとの付き合い方

「結局、子どもたちは野球が大好きなんです」。目標やレベルに違いはあれど、好きなことに没頭する思いは変わらない。我が子から「練習できないなら、修学旅行に行きたくない」と言われた母親も。小学生のビッグイベントよりも、上手くなりたいという熱量に、親は懸命についていく。「うちはトスあげて一緒に練習してますよ。毎日やってます。もう練習するのが日課ですね」との声は、当たり前のように聞こえてくる。

 とはいえ、十分な野球の知識がある保護者は多くなく、ネット上で指導動画などを探す日々。ただ、SNSやYouTubeには情報が溢れ、“正しい知識”を選別するのは簡単ではない。子に間違った指導をするわけにもいかず、試行錯誤は続く。

「グラウンドに立てば楽しんでほしい。それだけです。だからこそ親も全力で楽しんで応援したい」。丈晴さんは、保護者を代表して言葉に力を込める。子どもたちにとって、家族の応援が何より支えになる。試合での健闘とすこやかな成長を願い、大応援団は声を枯らす。

(木村竜也 / Tatsuya Kimura)

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