野球人しか「来てはいけない」のか…間違いだらけ、バッティングセンターの“解釈”

大阪のバッティングセンター「ホームランドーム」茨木店【写真:ホームランドーム茨木店提供】
大阪のバッティングセンター「ホームランドーム」茨木店【写真:ホームランドーム茨木店提供】

大阪・ホームランドーム茨木店が初の試み…「楽しい」無料“野球フェス”開催

 バッティングセンターが閉鎖になる情報を目にすることが増えてきた。子どもの減少、野球人口の低下もその要因かもしれないが、他にも理由があるのではないだろうか。大阪・ホームランドーム茨木店では利用者の“間口”を広げる活動を積極的に行い、子どもの「楽しい」時間を創出し、人気店となっている。

 子どもから大人、性別問わず、楽しむことができるバッティングセンターは、野球を知らない層には、なかなか行きにくい場所のようだ。ホームランドーム茨木店の店長・江崎佑さんは「バッティングセンターは、野球をしている人しか来てはいけないと思われているところがあるんですよ。そんなことは全くないんです」と力を込める。

 飛んでくる小さな球を、バットに当てるという動作は決して簡単なことではない。誰だって、最初は当たらない。初めての訪問なら、打ち方だって知らない。「ボールが当たらないから『バッティングセンターは楽しくない。=(イコール)野球はつまらない』となってしまうので、そうならないように意識を変えていきたいと思っています」と、江崎さんは店内に工夫を凝らしながら営業している。

 打撃指導をするサービスがあるわけではないが、打ち方を問われたら、地元の指導者が撮影した動画を紹介し、保護者や選手に伝えている。バッティングレーンだけでなく、他の競技のボールを使って楽しめるアミューズメント施設も用意。多くの人に施設の楽しさを知ってもらい、スポーツ、そして野球の魅力も伝えている。

店内に野球未経験者も楽しめる工夫を凝らしながら営業している【写真提供:ホームランドーム茨木店】
店内に野球未経験者も楽しめる工夫を凝らしながら営業している【写真提供:ホームランドーム茨木店】

12月29日には未経験者大歓迎の無料イベント「野球フェスティバル」を開催

 コロナ禍の影響、オーナーの高齢化で後継ぎがいない問題点があること、一店舗営業している経営ではなかなか成り立たないことから、バッティングセンターを長く続けることが難しくなってきている。しかし、江崎さんが店長を務めるバッティングセンターは中国、四国地方に店舗を持ち、認知は広まっている。その他のスポーツを巻き込みながら、その魅力を伝え、グループ企業として売り上げを伸ばしている。

「どうやって、間口を広げて、入りやすくしていくのか……それを突き詰めていくことが私たちの使命かなとも思っています」。野球だけに固執はしていない。スポーツをする子どもたちの数の減少は、野球だけの問題ではないとも捉えている。

 12月29日には、大阪・寝屋川市の少年野球チーム「レジリエンス ソウル」や、野球指導者で社会人の名門・ミキハウスでプレーもした吉田大輝氏(履正社〜関大)、元阪神・横山雄哉氏、山本翔也氏らと、寝屋川市のグラウンドで「野球フェスティバル」(参加費無料)を開催する。野球の経験は問わず、友達同士の参加でも可能で、広いグラウンドでキャッチボールやバッティング体験、その他ボールを使った“遊び”を体感できるというものだ。

 イベント主役は子どもたち。ストラックアウトにじゃんけん大会など、楽しさを創り出す催しを用意。「バッティングセンターだけでなく、少年野球のチームもそうです。世間の人はそこで何をやっているのかがわからないのが現状。もっと身近なものとして野球を感じてほしいですね」と情報発信の重要性を説く。そこからバッティングセンターに遊びに来てもらうことが願いだ。

 野球という枠組みにとらわれるのではなく、体を動かすことが楽しいと思ってほしい。その先に子どもたち自身が、多様な競技の中から好きなものを選んでほしい。バッティングセンターも様々なアイディアを持って、子どもたちを待っている。ホームランドームの試みは、このような思いが根底にあった。

(First-Pitch編集部)

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