教えてないのに…小学生が“驚異的プレー” 押し付けない指導が育む「柔軟発想」

福岡ソフトバンクホークスジュニアの帆足和幸監督(左端)【写真:球団提供】
福岡ソフトバンクホークスジュニアの帆足和幸監督(左端)【写真:球団提供】

就任5年目のホークスJr.帆足和幸監督…変化した指導「考えさせるように」

 26日から神宮球場と横浜スタジアムで行われる「NPBジュニアトーナメント KONAMI CUP 2023」で2009年以来の優勝を目指すのが、福岡ソフトバンクホークスジュニアだ。率いるのは西武、ソフトバンクで通算267試合に登板し、90勝をマークした帆足和幸監督。就任5年目となる帆足監督の指導論を聞いた。

 2019年にホークスジュニアの監督に就任した当初と、5年間で指導における考え方も変わったという。日頃はジュニアアカデミーのコーチなども行っている帆足監督。「最初はティーチングでした。どうしても『ああしろ、こうしろ』となってしまっていて、そうなると、子どもたちも楽しくないし、なかなか成長しない。今は自分たちで考えさせるようにコーチングすることを心がけています」。答えを与えるのではなく、自分たちに考えさせることが大事だという。

「子どもたちに考えさせると、考えた分だけうまくなります。いろんな発想が出てきますし、考える力がつくと思います」。今年4月、球団の指導理念、考え方に基づいて定めた育成方針「ホークスメソッド」を発表。帆足監督もそれに則って“考えさせるコーチング”を意識して子どもたちと接すると、驚くべきことも起きた。突然、ある子どもがキャッチャーフライでタッチアップを決めた。一切、教えたこともなかったが、子どもなりに考えたアイデア。「こっちがビックリしました」。柔軟な発想に帆足監督が驚かされたという。

 福岡県立三井高から九州三菱自動車を経て、2000年のドラフト3位で西武に入団した帆足監督。2012年にソフトバンクへ移籍し、2015年に現役を引退するまで15年間、プロの世界でプレーした。そんな実績ある左腕が“うまくなる”秘訣だとして挙げるのは「野球を好きでいること」「常に上手くなりたいと思うこと」だという。

 帆足監督も子どもの頃は厳しい環境や練習を当然味わってきた。ただ、苦しい中でも「野球が好きで、楽しいとずっと思っていました」と、“好き・楽しい”という気持ちを失うことはなかった。

打撃練習でトスを上げるホークスジュニアの帆足監督(左)【写真:球団提供】
打撃練習でトスを上げるホークスジュニアの帆足監督(左)【写真:球団提供】

大事なのは“継続”「すぐ止めていては得るものは少ない」

 現代の子どもたちは、YouTubeなどで練習方法や技術などの情報に触れることができる。帆足監督はそうしたものを見て学ぶことは、決して悪いことではないと言う。

 その中でも大事なのは“継続すること”。「試すのはいいこと。でも、試すなら長期的に試して、それで結果が出るか出ないかを計らないといけない。試してすぐ止めていては得るものは少ないので、継続してやるようにしてもらいたいですね」。子どもたちと普段触れ合っているからこその願いでもある。

 指導者として「上から目線にならないように」というのは心がけているという。「言葉遣いは気をつけていますね」。子どもたちと同じ目線に立ち、そして自発的に考えさせる。帆足監督はそんなポリシーのもとでジュニアチームで教えている。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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