「でも」「だって」はNG…勝利より優先の“ルール” 広島Jr.、19年間不変の取り組み

広島東洋カープジュニアの安部友裕監督【写真:球団提供】
広島東洋カープジュニアの安部友裕監督【写真:球団提供】

広島Jr.新任の安部友裕監督が選手に求めた「トライする姿勢」

 今年も広島の挑戦が幕を開ける。26日から開催される「NPB12球団ジュニアトーナメント KONAMI CUP 2023」に出場する広島東洋カープジュニアは、虎視眈々と全国での躍進を狙っている。今大会から指揮を執るのは、広島で15年間プレーし、2016年からの3連覇に貢献したOBの安部友裕氏。新任監督が選手に求めているのは、野球に取り組む“素直な姿勢”だ。

「これをやってみようと言うと『えーできない』『でも……』『だって……』と口に出す子が多かったので、『失敗してもいいから、まずはやってみよう』と伝えています。トライしたうえで、そこから一緒に解決していこうというスタンスで接するようにしています」

 初の監督業。最初に頭を悩ませたのは16人の選手を選ぶこと。100人近い応募からの選考で重視したのは、性格面と共に“個性”だったという。「守備、走塁、打撃全てがまとまった選手というよりは、それぞれの特性がはっきりしている選手を選びました」。なかでもこだわったポジションは二遊間。守り勝つ野球を実践する上で大切な守備力に優れた選手を選んだ。

「もっと上を目指すためにも、“こういう選手になりたい”という思いを忘れずにいてほしい。周りの声を素直に聞く姿勢も大事ですが、こうなりたいという明確な目標もしっかりと胸に抱いていてほしい」。縁あってめぐり会った選手たちだけに、この大会をきっかけに成長してほしいと願いを込める。

広島県出身の6年生で構成する広島ジュニアのメンバー【写真:球団提供】
広島県出身の6年生で構成する広島ジュニアのメンバー【写真:球団提供】

19年間こだわり続ける広島Jr.ならではのチーム編成

 広島ジュニアに選ばれた16人は、全員が広島県出身の6年生。今年で19回目を迎えるジュニアトーナメントだが、県外のチームに所属する選手を選んだことは一度もない。そこには、広島ならではの取り組みがある。

 広島以外の11球団は球団主体でジュニアチームを運営しているケースが多いが、広島ジュニアは、毎年、球団と広島県軟式野球連盟が連携してチームを支えており、長年、広島の野球界を見てきた連盟の思いもチーム編成に息づいている。

 ジュニアトーナメントが始まった当初から選抜チームを見守り続けてきた、連盟の平田正文常務理事は「島根県や鳥取県、四国のチームから問い合わせがありますが、県内の選手でチームをつくることにこだわっています。選抜チームを目標にプレーしている選手も多いだけに、県内の選手にそのチャンスをつくってあげたい」と話す。また、16人しか選べないため、将来を見据えて6年生のみを選んでいるのも特徴だ。

「広島らしくチーム一丸となって全国の舞台で戦いたいと思います」と力を込める安部監督。指揮官にとっても初舞台。「ギラギラしていこうぜと選手には伝えています」。無限大の可能性を秘めた16人の選手と共に、全国の舞台で広島の底力を見せつける。

(真田一平 / Ippei Sanada)

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