小学生が毎週末「沖縄→福岡」通い “地元の星”に注ぐ期待…寄り添う母の献身

福岡ソフトバンクホークスジュニアの山城響【写真:田中健】
福岡ソフトバンクホークスジュニアの山城響【写真:田中健】

沖縄・読谷村在住のソフトバンクJr.山城響…家族&地元の支えに応える活躍

 沖縄の“地域の星”が、全国選りすぐりの小学5、6年生が集まる「NPB12球団ジュニアトーナメントKONAMI CUP 2023」で活躍した。福岡ソフトバンクホークスジュニアの右腕・山城響(やましろ・ひびき)投手は大会最終日の28日、神宮球場で行われた準決勝の読売ジャイアンツジュニア戦に「8番・投手」でスタメン出場。5回途中まで好投し、打っても値千金の勝ち越し2点二塁打を放つシーンがあった。

 ホークスジュニアは結成から4か月間、基本的に毎週末の土・日に福岡県で全体練習を行ってきた。遠く沖縄県からも、山城くんと金城彦輝投手の2人が参加していた。

 飛行機移動と宿泊を伴う練習参加は、金銭的にも肉体的にも簡単ではなかった。山城くんは「周りからの寄付もあって、毎週参加することができました」と感慨深げに明かす。

 山城くんは沖縄県読谷村(よみたんそん)在住で、地元の楚辺ボーイズの「4番・投手」だ。最高峰のホークスジュニアに選出されると、チームの比嘉亘監督を中心に、読谷村・嘉手納町(かでなちょう)地区の少年野球チームや会社が寄付金を募り、山城くんと母・麻里子さんの毎週末2泊3日の“福岡通い”をサポートしてくれたという。父の春樹さんは「地域の皆さんのお陰です」と頭を下げる。

 その山城くんは、過去2戦はリリーフで1イニングずつを投げただけだったが、出場チーム中きっての強力打線を誇る巨人ジュニアとの準決勝に初先発。打っては4回2死満塁の好機に、三塁線を鮮やかに破る勝ち越し2点二塁打を放った。

打っても勝ち越し二塁打を放つなど活躍【写真:田中健】
打っても勝ち越し二塁打を放つなど活躍【写真:田中健】

付き添った母も万感「楽しそうだったので、私は満足です」

 球数制限の「70」に達するまで、山城くんの投球内容は4回1/3、5安打3失点。支えてくれる地元の人々のためにも「活躍しないといけない」と意を決して臨んだ試合後、「悔いは残っていません。全てやり切りました」と清々しい笑顔を浮かべた。

 現役時代に西武、ソフトバンクで左腕投手として活躍したホークスジュニアの帆足和幸監督も「しっかり気持ちの入った強いボールを投げて、試合をつくってくれました。ウチとしては理想的な展開だったと思います」と称えた。

「ジュニアトーナメントは、みんなレベルが高くて楽しかったです」と山城くん。毎週末、福岡まで付き添った母の麻里子さんは「響が楽しそうにやっていたので、私は満足です」とうなずいていた。

 山城くんが憧れるのは、くしくも日本時間この日未明、ドジャースとの12年契約合意を発表し入団会見を行った前オリックスの山本由伸投手だ。「ニュースで知って、すごいなと思いました。山本投手のように、防御率を低いところで安定させたいです」と少しはにかんだ。

 自宅周辺地域の人々の支えで、12球団トーナメントの大舞台を経験した大城くんは、確かな自信と限りない希望を手に入れた。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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