定番の打撃メニューに潜む“悪循環リスク” 大阪桐蔭元主将が警鐘「形崩す子山ほどいる」

野球塾「Amazing」代表を務める「ミノルマン」こと廣畑実氏【写真:喜岡桜】
野球塾「Amazing」代表を務める「ミノルマン」こと廣畑実氏【写真:喜岡桜】

野球塾「Amazing」代表の“ミノルマン”こと廣畑実氏…連続ティー打撃よりお勧めと語る練習方法

 大阪桐蔭高元主将で野球系YouTuber「ミノルマン」こと廣畑実氏が代表を務める野球塾、「Amazing」による野球教室「RAXUS × Amazing ベースボールフェスタ2024」が18日、大阪府堺市にある天野山グラウンドで開催された。ゲスト講師に糸井嘉男氏(元日本ハム、オリックス、阪神)を迎え、小学5年生から中学3年生まで約130人が本格的な打撃、守備、トレーニング、考え方などを学んだ。そこで廣畑氏が語ったのは、定番の打撃メニューに潜む“リスク”についてだ。

 腰を低く落とした状態をキープしてバットを振り続けることで、身体にキレが生まれ、技術向上につながるとされている連続ティー打撃。しかし、廣畑氏は「連ティーで形を崩す子が山ほどいるんです」と指摘する。強豪校やプロでも行われている一般的な練習方法だが、正しく取り組まなければ逆効果を生んでしまう。

「疲れてくると楽をするために腕だけで振るようになります。手首をこねるようなスイングを続けて、実戦でも手打ちをしてしまう。この悪循環になる危険性があります。なおかつ、野球は“間合い”があるスポーツなので、ピッチャーが(連続ティーのような)一定のテンポで投げ続けることはありません」

 日本に定着しているこの練習法に対して、素直な反応を示したのが異国の球児たちだ。廣畑氏は米国のロサンゼルス・ドジャースのアカデミーを訪れた際、日本でよく行われている練習法の1つとして連続ティー打撃を紹介した。しかし、子どもたちは「何に効果がある動きなのかやってみてよくわからないし、ただ疲れるだけ」と感じて、すぐにやめてしまったという。

講師を務めた廣畑氏、元阪神・糸井嘉男氏と参加者で記念撮影【写真:喜岡桜】
講師を務めた廣畑氏、元阪神・糸井嘉男氏と参加者で記念撮影【写真:喜岡桜】

身体を矯正、力のベクトルを下方向へ…大臀筋も育つ「膝つきスイング」

「連ティーって曖昧な意味しかないんです。どこの指導者も、『なぜやるのですか』って聞くと、キレを付けるためとか、スイング力を高めるためとか言うんですけど、それは連ティーをしなくても付けられるし、高められる」

 では、他に効果的なメニューはあるだろうか。この日の野球教室で、廣畑氏が子どもたちへ「代わりにやってほしい」とレクチャーしていたのが、一振りごとに軸足の膝を地面につけて素振りをする「膝つきスイング」だ。

 バットを振っていると、いつの間にか腰の位置が高くなっていることはないだろうか。その原因は「スイング軌道が(フォロースルー時に)上がっていくことと、目でボール(打球)を追いかけていること」が考えられると廣畑氏。連続ティー打撃でも、振っていくうちに腰が浮いてしまうリスクがある。重心が高くなると、力が放出されるベクトルが上向きになり、踏ん張る力が弱くなる。すると、スイングも弱くなってしまうのだ。

 しかし「膝つきスイング」を取り入れれば、浮いてしまう身体が矯正され、力を放出するベクトルも下方向に正される。力強くバットを振る感覚を養うことができ、さらに、大臀筋が収縮することで、強靱で引き締まったお尻も手に入れることができるという。

 1セット30スイングが目安で、決して速くバットを振る必要はない。ゆっくりと上半身の形も意識しながら、それぞれのペースで取り組めばOKだ。子どもたちは顔をゆがませながら、30スイングを振り抜いていた。

(喜岡桜 / Sakura Kioka)

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