傾き大きい投手は「球速出る」 たった3週間で効果…元プロコーチ推奨の“ひねる動作”

DeNAの野球指導者向け講習会で講演を行う塚原賢治氏【写真:内田勝治】
DeNAの野球指導者向け講習会で講演を行う塚原賢治氏【写真:内田勝治】

DeNAが少年野球指導者向けの講習会開催…塚原賢治氏がこだわる「立位姿勢」

 長年プロ野球選手のコンディション作りを支えてきたトレーナーお勧めの投球障害予防は、体が完成していない野球少年にこそやってほしいドリルだ。横浜DeNAベイスターズは2月18日、神奈川・横須賀市の球団施設「DOCK」で、主に小学生を教える野球指導者向けの講習会を行った。

 講習会には、チームの元トレーニングコーチで、現在はスクール事業部にてシニアスペシャリストを務める塚原賢治さんも講師として参加。指導者16人に「投球障害について」と題した講演を行った。

 塚原さんが重要視しているのは、「立位姿勢」だ。立った際に猫背となる「受け腰」タイプだと、背骨の湾曲が大きいため回転軸が作りにくく、十分な可動域を得ることができない。結果として胸郭が開かず、大きな胸の筋肉が十分に使えないためパフォーマンスが低下する。また、腕に頼った投げ方となり、肩や肘の関節に負担がかかり怪我につながりやすいという。

「胸を張ることができないと、投球時の肘が下がりやすくなり、解剖学的に無理な動作を強いることとなり、関節へのストレス、ダメージが大きくなります。そして胸の筋肉が硬いと、鎖骨が動かなくなり、肩甲骨も当然動かなくなって肩が痛くなる。胸の筋肉を柔らかくしておくことは、肩肘の怪我を防ぐ上で、とても大事です」

 骨盤をしっかりと立て、胸が張れる姿勢になって初めて最大限のパフォーマンスを発揮できる。それではどういったストレッチやエクササイズが有効なのだろうか。

座る生活多い子どもにお勧め…骨盤・体幹の安定に役立つ「大股歩き」

 塚原さんが、まず子どもたちに勧めるのは「大股歩き」だ。日常的に取り入れることで、腰から太ももの付け根あたりにある腸腰筋が刺激され、骨盤や体幹の安定に役立つという。

「大股で歩き続けるのは結構難しいので、『1、2、3、1、2、3』と歩くうちの『1』だけ大股で歩くだけでも、長時間座った後などは股関節の前あたりがしっかりと伸びます。ランジウォーク(下半身の筋トレであるランジと、大股で歩く動きを合わせたトレーニング)も有効ですね」

 胸郭のチェック、エクササイズには「上体ひねり」が有効だ。右利きであれば、四つん這いの姿勢から左手を顔の真下に置き、右手を後頭部にあてる。そして骨盤が動かないように上体をひねりながら、右肘をできるだけ高い位置に引き上げていく。上げた右肘と左手が縦に一直線上になるまでひねられれば合格だ。

 塚原さんの経験上、球速が出る投手ほど、右肘を左側(左利きなら左肘を右側)のエリアへ傾けられるという。もちろん、野手も行いたいエクササイズの1つだ。

「僕がチームにいた時は、戸柱選手(恭孝)がこのエクササイズをして、新人合同自主トレのたった3週間の期間で、しっかり腕を振らなくても球がいくようになったと言っていたことがありました」

 怪我を防止でき、なおかつパフォーマンスも上がる、一石二鳥のエクササイズ。是非ともチームで取り入れて、本格的な野球シーズン到来に備えたいところだ。

(内田勝治 / Katsuharu Uchida)

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