長雨の季節に潜む“練習制限”リスク 自覚なくても体が硬直「ズレることがある」
トレーニングコーチ・塩多雅矢氏が紹介…梅雨時におすすめ上半身、下半身ストレッチ
これから本格的に始まる“梅雨の季節”は、天気の影響で練習が制限されることが多い。室内練習場を保有している高校や大学ならいざ知らず、学童チームなどは練習そのものが中止になるケースもある。とはいえ、6月は夏の大会を控えた大事な時期。練習を1日休めば、取り戻すのに3日かかるという“俗説”もある中、自宅で何もせずに過ごすのは不安だ。約20校の中学・高校の野球部をサポートしているトレーニングコーチの塩多雅矢氏は、「コンディションを整える時間、という考え方を持ってほしい」と提言する。
「例えば、走ったりできるようであれば、20分ぐらい走ってしっかり汗をかく。体を硬くしないように関節可動域のトレーニングをするというのも、アイデアの1つとして持っておきたいです」
関節の可動域を広げることは、故障予防やパフォーマンス向上にもつながる。打つ、投げるといった野球の動きの中で可動域をキープするという考え方もあるが、「極端なことを言えば、手打ちになっているような子は全然(関節が)動かせていない」という。そこに雨が続き、技術練習が制限されたら、可動域はさら狭まってしまう。
「可動域が失われると、自分では動けているつもりでも、ズレが出ることが結構あります。例えば、体の開きが早いという課題が出てきた時に、ティー打撃をして直そうとしますが、もしかすると単純に捻る可動域が小さくなって、テークバックが浅くなっているのかもしれない、というところにも着目してほしいですね」
“恵みの雨”として有効的に使うことが、夏を制するカギに
塩多氏は、自宅でも簡単にできるストレッチを紹介。特別な器具も必要なく、野球選手にとって特に重要な股関節や太もも裏、大胸筋や肩周りなどの柔軟性や可動性をじっくりと高めることができる。風呂上がりなどに行えば、より効率的だ。
「試合が増えてくる時期でもあるので、体のストレスはどうしても増えてきます。せっかくもらった休みだからちゃんと休む、というのも1つの考え方。完全オフにするのではなく、しっかりとコンディショニングをして、夏に向けて疲労をコントロールしていくことも大切です」
特に高校生にとっては、最後の夏に向けてベンチ入り、さらにレギュラー獲得へ、残された時間は少ない。それでも、反省や課題を技術練習だけで修正するのではなく、一歩立ち止まって体のコンディショニングから見直してみる。“恵みの雨”として有効的に使うことが、夏を制するカギになる。
(内田勝治 / Katsuharu Uchida)
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