球速140キロに届かず「どこに壁が」 “昭和野球”に疑問符…反面教師で伝える効率練習

野球塾「J-PARK」を運営する福原芳之氏【写真:本人提供】
野球塾「J-PARK」を運営する福原芳之氏【写真:本人提供】

野球塾「J-PARK」運営…福原芳之氏は社会人引退後、猛勉強で指導者に

 子どもたちに本当の技術、理論を提供したい。徳島県小松島市で野球塾「J-PARK」を運営する福原芳之さんは、社会人野球までプレーし、現在は指導者として野球界の将来を担う“金の卵”を育成している。Full-Countでは、全国の注目野球塾の指導方針やこだわりの練習法などを取材。福原さんは自身の現役時代を反面教師にし、最先端の野球理論を提供する。

 福原さんは名門・徳島商を経て、社会人野球のJR四国で投手として活躍した。「私たちの世代は、いわゆる“昭和の野球”で厳しい練習もたくさんしました」。高校時代は自宅から10キロ先の学校まで走って通うなど、猛練習を積み重ねたという。

 昨今の野球界は球速150〜160キロが当たり前のように出る時代だが、当時は140キロが出れば一流とされていた。福原さんも直球のスピードを追い求め、投げ込みや走り込みに没頭したが、「どれだけ努力しても高校時代は140キロのハードルが高かった。球が速くならない。その壁がどこにあるのか、同じ練習をしても140キロを投げる投手もいる」と、疑問を抱いていた。

 今と比べて情報が簡単に得られない時代。試行錯誤を繰り返しながら、社会人野球でプレーできるまでに成長したが、練習方法の“正解”を突き詰めることはできなかった。引退後に野球を始めた息子のコーチを務める際に猛勉強をスタート。投球や打撃動作の文献を読み、定評ある指導者の講習会にも参加するようになった。

施設での練習の様子【写真:本人提供】
施設での練習の様子【写真:本人提供】

野球塾と所属チームの指導、方針の違いには「個人の引き出しを増やしてあげること」

「反面教師じゃないけれど、自分がやってきたことの逆のことをやりました。例えば昔は投手だったら筋トレがダメと言われたが、今はそうじゃない。体幹の重要性だったり、走り込みだけじゃない様々なトレーニングが必要です。昔の指導を否定することはないですが、無駄を省き、効率のいい練習をしないといけません」

 実力のある選手が“野球センス”だけの言葉で片づけられた時代は、今は昔。目的に応じた的確な練習を根気強く続ければ、ある程度のレベルまで達することができる。また、福原さんは野球塾とは別に中学硬式野球「ヤング阿南シティホープ」でもコーチを務める。野球塾と所属チームの指導法の違いに戸惑う選手、保護者たちにはどのような言葉をかけているのか。

「チームの方針を否定すると、子どもに影響が出る場合もあります。役割、戦術などチームの特徴があるので入部前に知ることも必要です。J-PARKでは親にもヒヤリングを行います。どのようなチーム、役割で子どもがプレーしているか。そのなかで個の力を上げることは次のステップで必ず役に立つ。まずは個人の引き出しを増やしてあげることを大切にしています」

 地元・徳島の野球少年少女が支持する「J-PARK」の練習方法などは、8月5日からの「少年野球個人練習EXPO」でも紹介予定。過去の経験を元に常にブラッシュアップする福原さんだからこそ、伝えられるものがある。

福原芳之さん運営…「J-PARK」も登場!

 Full-Count、First-Pitchと野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」では、8月5日(月)から5夜連続で、オンラインイベント「少年野球個人練習EXPO」を開催します。全国で話題の野球塾・野球スクールのこだわりの練習方法や指導方針などを動画で紹介。ゲストコメンテーターと共に、選手が個人練習を行う際の指導の参考となるポイントや、上達につながるヒントを探ります。参加費は無料。登場予定の野球塾・スクールなどの詳細は以下のページまで。

【少年野球個人練習EXPO・詳細】

https://first-pitch.jp/article/coaching-methods/20240718/7985/

【参加はTURNING POINTの無料登録から】

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(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

少年野球指導の「今」を知りたい 指導者や保護者に役立つ情報は「First-Pitch」へ

 球速を上げたい、打球を遠くに飛ばしたい……。「Full-Count」のきょうだいサイト「First-Pitch」では、野球少年・少女や指導者・保護者の皆さんが知りたい指導方法や、育成現場の“今”を伝えています。野球の楽しさを覚える入り口として、疑問解決への糸口として、役立つ情報を日々発信します。

■「First-Pitch」のURLはこちら
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