「技術を上げないと勝てない」 元プロ名手推奨…小学生で習得したい“逆シングル捕球”
“守備職人”として名を馳せた大引啓次氏が伝える「逆シングルキャッチ」
アウトを取る最善の方法を、瞬時に選択する――。レベルが上がるにつれて、ジャンピングスローや逆シングルキャッチは守備をする者として必要なスキルとなる。オリックス、日本ハム、ヤクルトで活躍した大引啓次氏は、「特に中南米の選手と勝負するためには必ず必要な技術です。日本人は技術を上げなければ勝てません」と、現役時代にそれらのスキルの重要性を痛感したという。
大引氏は堅実な守備を武器に、プロ野球の世界でも“守備職人”として名を馳せたプレーヤーだ。オリックス、日本ハム時代は主に遊撃手として活躍し、現役終盤のヤクルト時代は三塁手にコンバートされた。遊撃手のプライドを持ちながらも、三塁手を経験したことは「自分のなかで新たな発見もありました。それが今の指導にも生きています」と感謝する。
遊撃と三塁の“守備感”は全く違うという。三塁手は「ホットコーナー」とも呼ばれ、打者からの距離も近く、強烈な打球を処理することが求められる。特に三塁線への打球は切れていくため、体の正面で捕球するとグラブを弾かれ、長打になる可能性も高い。
「遊撃手のようにバウンドを合わせる時間もなく、ハンドリングで勝負する回数が増えます。オリックス時代に三塁にバルディリスという選手がいたのですが、彼のハンドリングは素晴らしかった。中南米の肩、送球は日本人にないものを持っている。そこに勝つためには必要なスキルだと。僕は正直、逆シングルは上手くなかった。正面で確実に捕ることが昔から染み付いていたので」
逆シングル捕球などの“派手な”プレーも「幼少期から練習して損はない」
現在は指導者として、小学生から大学生まで幅広く指導している大引氏。プロで培った技術をアマチュアに還元することが、野球界への恩返しと考えている。学童レベルでも、基本的な足を使うスローイング以外に、逆シングル捕球などの一見派手なプレーも伝えている。
「体の正面で捕るのが基本のプレーとして、体の横で捕ることはNGと思われがちですが、見える範囲や体の向きを変えて捕球することで、それは正面で捕るのと同じになります。逆シングルも同様で、打球に対して体を平行に向けることで上手にさばけるようになります。幼少期から練習しておいて損はありません」
試合になれば、イレギュラーな打球への対応力も問われる。一か八かでプレーするではなく、基本練習に加えて逆シングルキャッチなどの練習も積み重ね、スキルの1つとして確実に習得しておきたい。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)
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