酷暑避けるには「一石二鳥」 お盆返上で対策…目測誤らない“3種類”ナイター練習
マクドナルドT16強…北名古屋ドリームスは3種類の照明でナイター試合対策
高校野球に先駆け、学童野球では2022年から「朝夕2部制」を導入している。47都道府県を代表する学童野球チームが頂点を争う「高円宮賜杯 全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント」は毎年8月に開催され、今年は15~22日に実施された。今年で44回を数える歴史ある大会は、2年前から暑さがピークとなる時間帯での試合を避け、午前8時~8時30分から2試合、午後4時から2試合を行い、第4試合が始まる午後6時前後には照明に灯が入る。慣れない点灯試合に、飛球の目測を誤る外野手も散見された。
万全の準備を整えたチームもある。北名古屋ドリームス(愛知)は、7月18日に行われた組み合わせ抽選会で、16日の第1日第4試合、東京・大田スタジアムで西南部サンボーイズ(石川)と初戦を戦うことが決まった。昨年大会で神宮球場、駒沢球場のナイターを経験しているが、もちろん球場によって照明の位置や明るさも違ってくる。岡秀信監督は「対策はやっていました」と振り返る。
「もちろん大田スタジアムのように明るくはないのですが、お盆の期間の3日間、ナイターで全部やりました。そこで練習と練習試合をやってきましたね」
しかも3日とも違う施設を借りて「3種類のナイター」を選手たちに経験させる念の入れようだ。LED照明が多めと少なめの中学2校のグラウンドと、水銀灯で照らされる地域の総合運動場で、とにかくフライノックを打ちまくったという。
「外野は打球を追う時に目を切らないなど、そういうことは言いました。照明が目に入ればどうしようもありませんが、おまじないみたいなもので、『これだけ練習したから大丈夫だよ』ということですね」
「暑い中で練習をしようと思ったら、ナイターが一番」
その“おまじない”は、大会の日程変更で有利に働いた。通常通りであれば、ナイターは初戦の1試合のみだったが、16日の試合が台風7号の影響で翌日に延期となり、さらに日程の組み替えで2、3回戦も第4試合に変更になったからだ。
そして迎えた初戦を8-0と圧勝すると、府中市民球場で行われた岩見沢学童野球クラブ(北海道南)戦では4-3のサヨナラ勝ち。続く神宮球場での不動パイレーツ(東京第2)戦は、3-3のまま延長7回を終えたところで、ゲリラ豪雨により特別継続試合となった。
継続試合は翌20日朝、駒沢球場での第1試合に先立って行われ、延長9回、5-6で惜しくも敗戦。2021年大会の準優勝に続く8強入りは逃したが、それでも昨年準優勝、今年3位に輝く地元チームと紙一重の勝負を演じるなど、ナイター練習は成果を挙げたといっていいだろう。
「いずれにしても、第4試合があり得るということと、暑い中で練習をしようと思ったら、ナイターが一番という、この2つですよね。ナイター対策でもあるし、暑さ対策でもあります。一石二鳥ですね」
今夏の甲子園では、第1日から第3日までの3試合日で朝夕2部制を実施した。暑熱対策として、今後拡大していくことも予想される。小さい頃からナイターに触れておくことは、子どもたちにとってもメリットがある。
(内田勝治 / Katsuharu Uchida)
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