「打球が上がらない」悩み解決の最善策とは? 大阪桐蔭OBが重視する“飛ばす方向”

飛距離を出す打撃習得のための「置きティー」の注意点とは
飛距離を出す打撃習得のための「置きティー」の注意点とは

アマ球界のトップで活躍した生島峰至氏…打球角度を上げる練習方法は「置きティー」

 打球角度を上げるために必要なのが、ボールの下にバットを入れること。言葉で言うのは簡単だが、そのための練習方法に悩む指導者は多い。大阪、名古屋、三重・四日市を拠点とする「BT野球スクール」の運営に携わる生島峰至(いくしま・たかし)さんは、“置きティー”を推奨している。

 生島さんは大阪桐蔭高時代、中田翔内野手(現中日)と同学年で、高校通算33本塁打の強打の外野手として2度甲子園に出場。社会人では西濃運輸で2014年の都市対抗野球で優勝するなど、アマチュア球界のトップ選手として活躍した。

 現在は培った技術、理論を還元し、野球界の発展に尽力している。まだ、技術が身に付いていない子どもたちには「動いているボールを操って打つのは難しい」と、指導ではなるべく止まっているボールを打ち、自分のスイングを確立させることを優先させている。

 指導の中で、子どもたちに多いと感じる悩みの1つが「打球が上がらない」こと。バットの面でボールをとらえることができす、打球がゴロになり凡打となってしまう。そこで、解決方法として取り入れているのが“置きティー”だ。打つポイントが決まっており、強引に引っ張るのではなく、センター方向に打球を飛ばすのが要点だという。

「球場の構造としてセンターが一番深くできています。それは一番、打球が飛ぶからです。100%のスイングでセンター方向に打球が飛んでいるか。それを確認するためには、置きティーが一番の練習方法です」と生島さん。続けて「バッティングはインパクトも大事ですが、バットに当たるまでの時間が大事。(置きティーの)注意点は、バットを操作することで打球方向を変えてはいけない、ということ。自分の立ち位置を変えながら、どの位置で打つとセンター方向に飛ばせるかを確認してほしいです」と説明する。

BT野球スクール」の運営する生島峰至氏【写真:伊藤賢汰】
BT野球スクール」の運営する生島峰至氏【写真:伊藤賢汰】

「野球はホームラン競争ではない」…個々の持ち味が発揮できる練習を

 打撃で一番、満足感を得られる本塁打は誰もが求めたいものだ。生島さんも「本塁打を打てる形が一番、いいスイングであることは間違いない」と認める。しかし、「そこだけを求めるのは危険」とも口にする。選手個々には、それぞれの特徴を生かしたスタイルがある。中学、高校、大学とレベルが上がるにつれ、その特徴を生かし「チームに求められる選手になることが、試合に出る一番の近道」と語る。

「野球はホームラン競争ではありません。ボールを遠くに飛ばす競技なら、そこだけを求めるのもいいですが、『どのレベルで野球をやりたいか』を頭に入れておく必要はあります。もしかしたら、今取り組んでいる練習が、自分の目標へ遠回りになっている可能性もあります」

 生島さんは現役時代に高いポテンシャルを持ちながらも、試合に出ることができないままユニホームを脱ぐ選手を多く見てきた。レベルが上がるほど、求められる技術は高くなる。それだけに「自分の立ち位置や生きていく場所を知ることが大切。長く野球をやるためには必要なことかもしれません」。球界のトレンドに流されず、自らを分析することも大切になる。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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