「足が速い=センス」は時代遅れ 盗塁王指導の専門家が伝授する“走力アップ術”

プロトレーナーの安福一貴氏【写真:伊藤賢汰】
プロトレーナーの安福一貴氏【写真:伊藤賢汰】

プロ選手をサポートする安福一貴氏が紹介する、小学生でも実践できる走力向上ドリル

 体の使い方を覚えれば、誰でも足は速くなる。多くのプロ野球選手をサポートするプロトレーナー・安福一貴さんは「スタートはセンスかもしれませんが、3か月後はわからない。兎と亀の話は本当にあります」とアドバイスを送る。難しい技術を覚える前に、小学生でも簡単に実践できるトレーニングを紹介していく。

 センスや才能で片づけられる時代は終わった。元西武で盗塁王にも輝いた片岡保幸氏(現巨人U15ジュニアユース監督)、元巨人の高橋由伸氏らをサポートした安福さんは「スピード上げるためには速く動かすこと。そのためのポイントは、地面と足の接地時間を短くすることです。感覚的には“掴む”や“蹴る”ではなく、“叩く”動きになります」と、走力アップの基本を口にする。

 そのためにポイントになるのが、「つま先で地面を叩く」動きを覚えること。かかとを上げ、足の裏が見えるように足首をコントロールするトロッティング(小刻み走)が有効だという。足首からつま先の動きを意識しながら、約20メートルの距離を小走りする。

「注意すべき点は3つ。腰が落ちない、軸が崩れない、足首が硬くならないこと。走ることを小さくしてはいけません。この練習は走ることと全く別物と考えてやってください。腕は前ではなく、後ろに大きく振ることで前傾姿勢を保つことができます」

 この他にも、膝を曲げずに両足でジャンプする動きなど、地面を蹴るのではなく“叩く”ことを意識するトレーニングを入れることが重要になる。練習前のウォーミングアップから取り入れることで、より効果を得ることができる。

「順序を間違わないことが、足を速くする近道」

 小・中学生は走り方のフォームが確立されておらず、走力の差は如実に出やすい。だからこそ、安福さんは「基礎の動きを作ることが大切です。最近は出力を上げることに注目しがちですが、幼少期に基礎を正確に身に付けることで、その後の技術習得が早くなります。順序を間違わないことが、足を速くする近道です」と力説する。

 足の速さに限らず、様々な能力を上げるのは、感覚ではなく理論と技術。約20年間、プロアスリートたちを指導してきた安福さんだからこそ、伝えられるものがある。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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