少年野球で見落としがちな「キャッチボールの基本」 一流も実践する“見直しと反復”

2021年にアカデミーを立ち上げた星野伸之氏【写真:橋本健吾】
2021年にアカデミーを立ち上げた星野伸之氏【写真:橋本健吾】

通算176勝をマークした星野伸之氏が伝えたい、野球での「キャッチボールの大切さ」

 ピッチング向上に必要なのは“キャッチボール”を大切にすること。プロ野球選手も少年野球でも、初心を忘れてはいいけない。阪急、オリックス、阪神で通算176勝をマークし、現在は「星野伸之野球アカデミー」で小学生を指導する星野伸之氏は、「好不調に気づくことにも、投球フォームの安定にもつながる。キャッチボールは全てが詰まっているので大事にしてほしい」とアドバイスを送る。

 キャッチボールはウオーミングアップではなくトレーニングとして考えてほしい――。9月末に大阪・吹田市の万博記念公園で行われたアカデミーでの練習で、星野氏はグラウンドに集まった小学生に向け、身振り手振りで指導を行った。細かい技術も必要だが、まずは野球の基本となるキャッチボールの大切さを伝えていた。

 基礎動作の反復から得られるものは沢山ある。キャッチボールの大切さを改めて感じたのが、オリックスの1軍投手コーチ時代に在籍していた山本由伸投手(現ドジャース)の存在だ。プロ2年目に投球フォームを変えた際、ブルペン投球以上に大切にしていたのがキャッチボールだった。

「毎日ブルペンには入りませんが、キャッチボールは毎日やりますよね。由伸もブルペンではあまり投げ込まなかったのですが、毎日のキャッチボールで常に体の動きをチェックしていました。腕の位置や重心移動、体の開きなど。一流選手ほどキャッチボールを大切にする。だからこそ、小学生の時期からおろそかにしないでほしい」

“日本一楽しい平日練習”をコンセプトに子どもたちを指導【写真:橋本健吾】
“日本一楽しい平日練習”をコンセプトに子どもたちを指導【写真:橋本健吾】

球速150キロが当たり前の時代も…「それだけで通用するほど甘くない」

 土台を固め、体の軸を保つことでピッチングだけでなく、野手なら捕球から送球、ランニングスローなど技術向上に繋がっていく。近年は球速向上に特化し、様々なトレーニングを行う選手も増えてきた。星野氏は「もちろん、球速は今の時代にはあったほうがいい。ただ、勝てる投手や、ここ一番での勝負所にはコントロールだと思います」と口にする。

 星野氏は現役時代に球速130キロ台の直球とスローカーブ、フォークを武器に通算176勝、2041奪三振をマーク。抜群の制球力と緩急を生かした投球術でプロの世界を生き抜いた。今では150キロが当たり前だが、いつの時代も「それだけで通用するほど甘くない」と言い切る。

「力である程度はカウントを作ることはできます。でも、追い込んでからが本当の勝負。プロの世界だって140キロでアウトコースに投げ分ける技術を持っていれば、そう簡単には打たれません。困った時ほどキレとコントロールが頼りになるのではないでしょうか」

 中学、高校とステージが上がっても通用するために。星野氏はこれからも基本の大切さを子どもたちに伝えていく。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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